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平成27年 9月10日
平成27年9月定例県議会 知事提案事項説明要旨

 本日、平成27年9月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成27年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 提案事項の説明に入ります前に、当面の課題への対処方針について申し上げます。
 まず、地方創生の取組について申し上げます。
 地方創生に向けた取組につきましては、まち・ひと・しごと創生法に基づき、「地方人口ビジョン」及び「地方版総合戦略」を策定することとされております。このうち、人口の将来見通し等を示した「人口ビジョン」につきましては、本年6月に策定したところです。
 そして、この「人口ビジョン」を踏まえ、地方創生の推進に向けて、地域の実情に応じた5か年の目標や、施策の基本的方向、具体的な施策等をまとめた「佐賀県まち・ひと・しごと創生総合戦略」につきましても、この9月に策定したところです。
 この総合戦略では、「本県の人口減少を抑え、将来にわたって地域の活力を維持すること」を目指すこととし、その実現に向けて、

  • ひとづくり・ものづくり佐賀
  • 本物を磨き、ひとが集う佐賀
  • 子育てし大県佐賀
  • 自発の地域づくり佐賀

の4つの柱を基本目標として定め、この柱に沿って地方創生に向けた具体的な施策に取り組んでいくこととしております。
 こうした取組の一つとして、歴史的にも地理的にもつながりの深い長崎県との連携を強化していくこととし、去る8月17日に長崎県庁で中村長崎県知事とお会いし、地方創生に係る連携協定を締結いたしました。
 今後の九州新幹線西九州ルートや西九州自動車道の全線開通を見据えつつ、人口減少社会への対応や地方創生という喫緊の課題に対して、両県が連携・協力して取り組むことにより、効果的な施策の展開と両県地域の振興を図ってまいります。
 また、中山間地域をはじめ各地域の自発的かつ主体的な取組を財政的に支援する「さが段階チャレンジ交付金」につきましては、更なる応募もいただき、255件を採択いたしました。
 短期間での募集にもかかわらず、地域住民が自ら考え、実行する取組をこれだけ多く応募いただいたことに、地域の可能性を強く感じたところです。
 一つひとつの取組が地域の活力につながっていくよう、市町と連携してしっかりと支援してまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓潮受堤防排水門の開門調査につきましては、9月7日、福岡高等裁判所において、原告である佐賀県と長崎県の漁業者の開門請求を棄却し、一審で認められた損害賠償も取り消すという判決がありました。
 しかしながら、今回の判決は、平成22年12月の福岡高等裁判所の確定判決の効力を失わせるものではありません。
 開門を巡っては、この他にも複数の裁判で争われています。司法上の決着は長期化しており、今後の動きを注視してまいります。
 一方、漁業者にとりまして、水産資源の回復は待ったなしの問題でありますことから、国と有明海沿岸4県が連携して、宝の海である有明海の再生に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、エネルギー政策について申し上げます。
 国は、7月16日に我が国の長期エネルギー需給見通しとして、2030年度の電源ごとの構成比率、いわゆるエネルギーミックスを決定しました。
 エネルギー基本計画において「可能な限り低減させる」とされていた原子力発電については、最大で22%と東日本大震災前の28.6%から低減させる一方で、再生可能エネルギーについては、2倍以上となる最大で24%と大きく増加させるとされております。
 原子力を含め、我が国のエネルギーをどう確保していくかということにつきましては、国家の根幹に関わる問題であり、国において、エネルギー基本計画や今回示されたエネルギーミックスの方向性に基づき、様々な課題の解決策や実現までの道筋を示した上で、実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 このような中、8月11日、九州電力川内原子力発電所1号機が再稼働しました。
 今回の再稼働は、新たな規制基準に基づき、原子力規制委員会による厳格な審査を経て行われたものと認識しております。
 一方、玄海原子力発電所3、4号機につきましては、現在、規制基準への適合性審査が行われているところでありますが、原子力発電所は安全性が確認されることが大前提であることから、一元的に規制監督権限を有する原子力規制委員会において、厳格な審査を行っていただきたいと考えております。
 なお、本年4月に運転を終了した玄海原子力発電所1号機は、今後、国の認可を受けて廃止措置が実施されていきますが、県といたしましても、県、玄海町及び九州電力の三者で締結している安全協定について、廃止措置の実施を事前了解の対象に含めるなど所要の改定を行い、安全第一の姿勢で対応してまいります。
 続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、6月補正後の事態の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
 この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ

一般会計  約33億 2百万円
特別会計 減額 22百万円

となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、

一般会計 約4,386億31百万円
特別会計 約1,089億52百万円

となっております。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 図書館機能の充実につきましては、子育てし大県“さが”プロジェクトの一環として、「子どもたちがいつでもどこでも“本”とつながる佐賀県」を目指すこととし、県立図書館における新刊児童書の全点購入や児童担当司書の配置などを行うことといたしました。
 購入した児童書は、市町図書館へも貸出しを行い、県内各地で行われている読み聞かせ会などの機会を通じて、県内のどこででも児童書に触れることができるようになります。
 読み聞かせには、読み手の「心」や「感情」を伝える力があります。子どもたちに、そうした豊かな「思い」を伝えながら、様々な感情表現を育むことができる環境をしっかりとつくっていきたいと考えております。
 農村地域の活性化や所得向上につきましては、優れた品質の農産物や美しい農村の風景、素朴で暖かい農家の方々の「おもてなし」の心など、佐賀の農村の魅力をいかして農村への新しい人の流れをつくるための戦略を策定することといたしました。
 この戦略の策定を通じ、農産物直売所、農家レストラン、観光体験農園、農家民宿等の農村ビジネスをいかに磨き上げ、集客力を高めるかについて、農村ビジネス関係者を巻き込み、検討してまいります。
 佐賀県への移住促進につきましては、県外の方々、とりわけ都市部で暮らしている方々に、佐賀県にある「本物」の地域資源の価値や、子育て環境の素晴らしさなど、地域で暮らすことの魅力に気付いてもらうことが重要だと考えております。
 こうしたことから、特に、福岡都市圏で生活されている方々へ向けて、佐賀県への移住を考えてもらうきっかけづくりの一環として、福岡県のメディアなどを活用し、実際に県内に移住された方々の暮らしぶりを紹介することなどを通じて、佐賀の魅力を発信することといたしました。
 佐賀空港につきましては、さらに戦略的に活用し、県民の皆様の利便性向上や本県の発展につなげていくことができるようにするための中長期的な戦略を描いた「佐賀空港がめざす将来像」を、この9月に策定したところです。
 この将来像に基づき、基幹路線である東京便を中心としながら、LCCの拠点空港化を進め、九州におけるゲートウェイ空港としての地位を確立していきたいと考えております。
 今回の補正予算におきましては、路線数や便数の充実に対応できるよう空港の機能強化を図るため、

  • 駐機場を拡張するための調査・設計
  • 旅客ビルの改修・拡張などに向けた基本設計
  • 佐賀県の国際戦略上の重要なターゲットである東南アジアなどへの就航を見据えた滑走路延長の必要性・効果等を検討するための調査

を実施することといたしました。
 また、LCC就航に伴い、空港利用者が、佐賀県内や福岡県南西部のみならず、北部九州を中心に九州全域に広がっていることを踏まえ、更なる利用者数の増加につなげるため、愛称を「九州佐賀国際空港」とし、九州におけるゲートウェイ空港としての佐賀空港の認知度向上に取り組むことといたしました。
 全国から、そして世界から佐賀県を訪れる方々にとりまして、佐賀空港はまさに佐賀県の「顔」です。
 今後、LCCの拠点空港を目指して、「顔」となる施設の整備を着実に進めてまいりますが、お客様をお迎えする私たちの笑顔と「おもてなし」の心も、もう一つの大切な「顔」であるということを念頭に置き、「世界に誇れる佐賀づくり」を進めてまいります。
 次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例(案)」など2件、条例外議案として「県事業に対する市町の負担について」など9件、あわせて11件となっております。
 このうち、乙第57号議案「佐賀県『食』と『農』の振興計画2011の変更」につきましては、佐賀県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決事件とする条例に基づいて提案しているものであります。
 その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。