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平成29年 6月13日
平成29年6月定例県議会 知事提案事項説明要旨

 本日、平成29年6月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成29年度補正予算案及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 提案事項の説明に入ります前に、当面の諸課題への対処方針及び最近の県政の主な動きなどについて申し上げます。
 まず、最近の国際情勢について申し上げます。
 欧米におきましては、経済の低迷、他国からの移民・難民の流入、相次ぐテロ事件などを背景として、自由主義から保護主義へ、国際協調から自国ファーストへといった世論が台頭し、イギリスのEUからの脱退やアメリカのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)・パリ協定からの離脱など、憂慮される状況が続いています。
 一方、東アジアに目を向けますと、中国公船による尖閣諸島への領海侵入が続く中、ここに来て北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返し、これに対してアメリカが軍事的オプションを含む動きを見せるなど、我が国の安全保障を取り巻く情勢は緊張の度合いを増しています。
 このような予断を許さない国際情勢に県として対応していくため、常に最新の情報を収集・分析した上で、様々な事態に備えた対策を確認・検討しているところであります。
 次に、県関連のトピックスについて申し上げます。
 この春は、有田焼及び有田焼創業400年事業の取組が、世界的評価をいただきました。
 有田焼創業400年事業の取組の一つ「オランダとの連携等によるプラットフォーム形成プロジェクト」において生み出された有田焼の世界ブランド「2016/(ニーゼロイチロク)」が、世界的デザイン誌「エルデコ」の「インターナショナルデザインアワード2017」のテーブルウェア部門でグランプリを受賞しました。
 また、日本の魅力を海外に展開する商品やサービスを生み出した異業種連携の取組などを表彰する「第1回クールジャパン・マッチングアワード」において、オランダ大使館から応募された「佐賀県とオランダとのクリエイティブ産業交流」の取組が準グランプリを受賞しました。
 これらの受賞は、事業者の皆様が世界を見据え、「挑戦なくして、伝統なし」の精神のもと、新たな取組に挑戦し、様々な困難がありながらも、共に協力し、乗り越えていく「志」があったからこそ実現できたものと考えています。
 今後とも、県民の皆様とともに、世界に目を向け未来を切り拓く施策に力を入れて取り組んでまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 防衛省は、去る4月26日から28日にかけて、新たに駐屯地整備を考えている土地及びその隣接地の地権者に対し、九州防衛局による説明会を開催されました。説明会では、国に対する不信感をはじめ、厳しい意見が相次いだとの報告を受けています。
 これは、有明海漁協の漁業者の方々が、諫早湾干拓事業を含め、これまでの有明海周辺における国の公共事業に対して強い不信感を持たれるとともに、今回の防衛省からの要請も同じ国の事業として捉えられていることによるものと考えています。
 一方、県では、防衛省の説明内容の精査・確認作業の一環として、これまで九州防衛局との間で質問・回答のやり取りを行っており、1月26日に九州防衛局長あてに発出していた5回目の質問・照会文書に対する回答を、5月12日に受けたところです。
 また、有明海漁協も2月2日に県を通じて九州防衛局長あてに発出していた2回目の質問・照会文書に対する回答を、5月12日に受理されました。
 さらに、5月19日には、若宮防衛副大臣が来県し、昨年12月13日に発生した沖縄県におけるオスプレイの事故原因に関する防衛省の分析・評価と安全対策の方向性について説明されました。
 県として、今回の防衛省からの要請を議論し、検討するに当たりましては、計画の全体像・将来像を明確にすることが必要だと考え、精査・確認作業に鋭意取り組んできたところですが、これまでの九州防衛局とのやり取りや有明海漁協と九州防衛局とのやり取りなどを通じて、計画の全体像・将来像につきましては、ほぼ明確になったという認識に至りました。
 このため、これまでの県議会等における議論や防衛省の説明を踏まえ、現時点における論点を洗い出し、論点ごとに県の確認・検討状況を整理した「佐賀空港の自衛隊使用要請に関する論点整理素案」を5月30日に公表するとともに、翌日から6月5日にかけて有明海漁協、佐賀市、JAさが及び柳川市に説明を行いました。
 論点整理素案では、まず、今回の防衛省からの要請を議論・検討するに当たっての基本的な考え方として、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国の根幹に関わる国防の重要性を認識した上で、県としては、基本的には国防政策に協力する立場にあるという考えを明確にいたしました。
 また、

  • 米軍の佐賀空港利用について
  • オスプレイの安全性について
  • 騒音の生活環境への影響について

など、現時点における20の論点を洗い出し、論点ごとに、県の確認・検討状況等について整理しました。
 その結果、県として評価する立場にないもの、低周波音による生活環境への影響など基準値や評価方法あるいは科学的知見等がないため評価ができなかったものを除いた16の論点につきましては、防衛省がこれまでの説明の中で示した適切な対策等を確実に講ずることを前提として、不合理な点がないことなどを確認したところです。
 その上で、国の対応について、

  • 有明海漁協は、県が締結している公害防止協定の相手方であること、川副地区4支所に所属する漁業者は、防衛省が新たに駐屯地整備を考えている土地の地権者であることを踏まえれば、その理解が得られなければ、防衛省の要請を実現することは困難と考えること
  • 有明海漁協の漁業者は、国の公共事業に対する強い不信感を持たれており、今回の要請も諫早湾干拓事業などと同じ国の事業として捉えられていること
  • したがって、防衛省をはじめ国は、今回の要請が有明海全体に関わる問題という視点に立って、有明海漁協の漁業者が持たれている不信感の払拭と信頼関係の構築のために、安全対策や補償措置の確約、有明海の再生や水産振興のための新たな施策の展開など、あらゆる手段を講ずる必要があること

についても指摘したところです。
 現在、この論点整理素案に関する県民の皆様からの意見募集を行っているところですが、今後の県議会や有明海漁協をはじめとする関係機関での議論の状況や県に寄せられた意見、さらには、防衛省をはじめ国の対応状況なども見極めながら、最終的な論点整理としてまとめた上で、後世にきちんと説明できるような判断をしたいと考えています。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓地潮受堤防排水門の開門調査につきましては、4月17日に長崎地裁において、原告である干拓地農業者等の請求を認め、開門の差止めを命じる判決が出されました。
 国は、開門調査を命じた福岡高裁の判決を自ら受け入れ、確定させており、開門を実行しなければならない立場にありながら、その義務を履行することなく、長崎地裁の判決に対し、開門しない方針を明確にした上で、控訴期限であった5月1日を前にして、控訴しないという判断を行いました。
 堤防締め切り後20年もの間ご苦労され、ただただ有明海の再生・水産振興を願われている漁業者の方々の気持ちを思うと、今回の国の判断は到底受け入れられないものであり、大変遺憾に思います。
 漁業者や関係者の中には、こうした国の対応への不信感とともに、今後の有明海再生事業における予算の確保や、将来にわたる有明海での漁業の継続への不安感が増しています。
 このため、4月26日に副島副知事を農林水産省に派遣し、有明海沿岸市町水産振興協議会、有明海漁協とともに、細田政務官に対し、漁業関係者をはじめとする地元の気持ちを訴え、抗議しました。
 また、5月18日に礒崎農林水産副大臣に対し、有明海再生の早期実現について、

  • 海況悪化の原因究明のための開門調査を実施すること
  • 漁業者をはじめとする関係者の信頼を回復し、不安感を払拭するため、有明海再生20か年事業実施計画を策定することにより、国の再生に向けた姿勢を明確にした上で、長期的視点に立った取組を確実に実施すること

を提案しました。
 開門調査を巡っては、5月18日に福岡高裁において請求異議訴訟控訴審の和解協議が行われ、ほかにも複数の裁判で争われているところです。
 これからも、国や裁判の動向を注視し、宝の海である有明海の再生に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルート整備について申し上げます。
 平成34年度の武雄温泉駅での対面乗換方式による暫定開業に向け、武雄温泉から長崎間の新線区間につきましては、用地取得及び土木工事が順調に進んでおり、今後、駅舎・軌道など開業に必要となる施設の工事も順次進められることとなっています。
 また、肥前山口から武雄温泉間の複線化区間につきましては、地区住民の方々のご理解、ご協力を得ながら準備が進められており、鉄道・運輸機構及びJR九州と連携しながら、事業の進捗を図っていくこととしています。
 暫定開業後は、新幹線及び在来線の全ての列車が武雄温泉駅に停車するとともに、嬉野温泉駅(仮称)が新設されることから、開業効果をできるだけ高められるよう、地域の皆様とともに、しっかりと取り組んでまいります。
 フリーゲージトレインにつきましては、国において、技術開発が進められているところですが、次回の軌間可変技術評価委員会において、耐久走行試験の再開が判断されることとなっており、その開発状況について、国からの情報収集に努め、注意深く見守ってまいります。
 次に、原子力発電について申し上げます。
 玄海原子力発電所3、4号機の再稼働につきましては、4月24日に判断をしたところですが、引き続き、工事計画の審査、使用前検査などについて、国において厳正に行われる必要があると考えています。
 一方、4月19日に玄海原子力発電所1号機の廃止措置計画が認可されました。
 玄海原子力発電所につきましては、この廃止措置を含め、これからも非常に長い年月にわたり関わり続けなければなりません。
 県といたしましては、引き続き国と事業者に対し、徹底した安全対策を講ずるよう求めていくとともに、原子力災害対策をより実効性あるものとしていくため、不断の見直しを行うなど、何よりも県民の安全を大切に、これからも原子力発電所と真摯に向き合ってまいります。
 また、私といたしましては、原子力発電に依存しない、再生可能エネルギーを中心とした社会の実現を目指しており、5月18日に国に対し、事業手続きの迅速化・簡素化や導入拡大に対する支援の拡充などを提案したところです。今後も、再生可能エネルギーの導入促進に全力で取り組んでまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業につきましては、現在、ダム計画の決定に必要な調査が進められています。
 このような中、5月8日に水没予定地区の方々から「城原川ダムの早期建設」についての要望を受け、翌9日には、地元神埼市と佐賀市による「城原川改修・城原川ダム建設促進期成会」が設立されました。私自身、設立総会に出席し、地域住民の皆様と心を合わせ、関係者とともに取り組んでいくという思いを、更に強くいたしました。
 早期建設という地元の思いを受け、5月18日に国に対し、ダム建設事業の早期着手と必要な予算の確保などについて要請したところであり、今後とも、期成会と連携しながら、しっかりと早期着工を働きかけてまいります。
 次に、九州佐賀国際空港について申し上げます。
 平成28年度における九州佐賀国際空港の利用者数は、昨年発生した熊本地震の影響により年度当初に大きく落ち込んだものの、県・民間事業者が一体となった観光客の誘致対策や、成田便・ソウル便の期間限定の増便などにより、最終的には東京便、成田便及びソウル便の3路線で過去最高の利用者数を記録するとともに、全体の利用者数も4年連続で過去最高を更新し、66万人を超えました。
 また、

  • 3月26日から成田便が1日1往復から1日2往復
  • 5月11日からソウル便が週5往復から毎日1往復

に増便され、さらに、昨日から新たに台湾からのプログラムチャーター便が週2往復で就航しています。
 台湾便の定期便化をはじめ、新規路線の誘致や増便に引き続き取り組み、LCCの拠点空港化や九州におけるゲートウェイ空港としての地位の確立に向けて、更に尽力してまいります。
 次に、明治維新150年事業について申し上げます。
 「肥前さが幕末維新博覧会」につきましては、この程、平成30年3月17日から平成31年1月14日までの約10か月間で開催することを決定するとともに、3月28日には博覧会の全県的な事業展開を図るため、県と市町等で構成する「肥前さが幕末維新博推進協議会」を設立しました。
 また、博覧会開催に向けた気運の醸成を図るため、様々なプレイベントを実施しているところであり、3月5日には一流の音楽家と科学技術分野の第一線で活躍されている起業家を招いたイベント「音楽のチカラ」を開催し、3月12日には全国的に著名な歴史学者の磯田道史さんや歴史小説家の植松三十里さんなどをパネラーにシンポジウムを開催しました。さらに、佐賀城本丸歴史館では、2月3日から3月20日まで、特別展「直正と斉彬」を開催し、約5万人の方々にお越しいただきました。
 このほか、3月末には、幕末・維新期における鍋島直正の類まれなリーダーシップと世界を見ていた広い視野を歌詞に散りばめたラップ「The SAGA Continues…」が完成し、主に若者たちをターゲットとして、今後、様々な場面で活用していくこととしています。
 民間主導で進められてきた鍋島直正の銅像設置につきましては、多くの方々の募金により完成に至り、3月4日に除幕式と記念式典が開催されました。これに続き、県では佐賀の七賢人の一人で、北海道開拓の父と敬われている島義勇の銅像設置に着手し、4月18日からふるさと納税による寄付を募集しています。また、私自身、4月16日に北海道で開催された島義勇顕彰の集いに参加し、先人たちの開拓精神と島義勇に対する北海道の皆様の熱い思いを改めて感じたところです。
 「肥前さが幕末維新博覧会」の開催まで、いよいよ1年を切りました。博覧会を契機に、県民の方々のふるさと佐賀への愛着や誇りを再興し、志を築き、今後の佐賀の発展につなげていくため、市町・民間とともに、県の総力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、国民体育大会・全国障害者スポーツ大会について申し上げます。
 県総合運動場エリアの施設整備につきましては、検討委員会や県議会での議論などを踏まえ、3月27日に佐賀県総合運動場等整備基本計画を策定いたしました。今後、この基本計画に基づき、県民がスポーツを楽しめる環境整備を進めるとともに、大会に必要な施設整備を進めてまいります。
 また、6月5日に開催した大会の準備委員会において、

  • 国民体育大会では全38競技中23競技
  • 全国障害者スポーツ大会では全14競技中6競技

を開催する市町が内定いたしました。今後、調整中の競技会場地につきましても、関係市町及び関係競技団体と調整し、順次内定してまいります。
 去る5月20日には私をはじめ、両副知事及び部局長は、県議会の有志議員の皆様や障害者の方々とともに、ボッチャと卓球バレーを体験いたしました。この体験等から得られた様々な気づきなどを踏まえ、障害や障害者に対する社会的な理解促進に努めるとともに、障害者スポーツの普及に尽力してまいります。
 この大会を佐賀らしいものに仕上げていくとともに、県総合運動場エリアをスポーツはもとより、佐賀の次世代を切り拓く象徴的なエリアとして再興してまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについてご説明申し上げます。
 まず、人の想いに寄り添う事業について申し上げます。
 現在、佐賀中央児童相談所において、様々な困難を抱える子どもに関する総合相談を行っているところですが、近年、経済格差の拡大等の社会情勢や、家族の在り方の多様化等を背景に、相談内容が複雑化・困難化する傾向にあります。特に、児童虐待につきましては、全国の対応件数は年間10万件を超え、県内においても直近10年で倍増するなど厳しい状況となっており、児童相談体制の充実・強化が喫緊の課題となっています。
 このようなことから、困難を抱える親子に寄り添いながら、より迅速に、よりきめ細やかに対応するため、現在、中央児童相談所の分室を設置している唐津市内に、平成30年10月を目途に北部児童相談所(仮称)を新設することといたしました。
 また、今年度から、医療・福祉分野におけるサービスを充実いたしました。まず、より多くの女性が子宮がん検診を受けてもらえるよう、市町の協力を得て、県内どの産婦人科等でも受診できる「子宮がん検診の広域化」を実現しました。
 さらに、各市町が独自に実施してきた小学校就学後の子どもを対象とする医療費助成について市町や関係機関と協議を重ねた結果、現物給付化を実現し、全市町でスタートいたしました。
 加えて、介護に関する実習や情報提供・相談の場である在宅生活サポートセンターを、本年3月に佐賀駅の北側に新築し、福祉用具や車椅子をお一人お一人に適したものに調整する機能を充実いたしました。
 去る3月27日に本県出身者の方々が入所されている国立療養所「菊池恵楓園」に寄贈した「希望の鐘」の除幕式を行いました。私自身も出席し、入所者の皆様に喜んでいただきましたが、同じ過ちを繰り返さない、そして差別と偏見のない社会を創っていくという意を、一層強くいたしました。また、4月5日には中学生をはじめとする県民の方々が、園を訪問し、本県出身の入所者の皆様と交流を深められ、「希望の鐘」の澄んだ音色のもと、ふるさと佐賀への思いを新たにされました。
 今後とも、様々な困難を抱えられている方々が、できる限り不安なく、不自由を感じない日常生活を営むことができるよう支援を充実し、環境を整備するとともに、お一人お一人が他人を想い、寄り添い、助け合うという佐賀らしさを更に伸ばしていくための施策に、全力で取り組んでまいります。
 次に、企業の進出決定について申し上げます。
 去る4月18日にこれまで数々の大ヒットゲームを生み出し、サガン鳥栖のスポンサーでもある株式会社Cygamesの佐賀市への進出が決まりました。本県へのゲームソフトウェア企業の進出は初めてとなります。
 また、5月15日に化粧品受託製造分野では国内トップクラスの東洋ビューティ株式会社の神埼市への進出が決まりました。本県が推進する美と健康に関する産業の集積等を目指すコスメティック構想にも賛同されており、構想の推進に向け、大きな弾みとなりました。
 これからも、新たな産業分野や地域の特性に応じた産業の立地など戦略的な企業誘致を推進してまいります。
 次に、タマネギべと病対策について申し上げます。
 昨年、「べと病」により、これまでに経験したことのない深刻な被害を受けました。このため、県は、国や市町、JAからなる「タマネギべと病対策会議」を設置し、薬剤防除や耕種的防除、さらに、生態解明に向けた共同研究など、被害軽減対策の検討・普及を推進してまいりました。
 これに加え、今年産の被害を軽減するため、薬剤の共同購入に対し支援するなど、緊急的な特別対策を実施したところです。
 そして、何よりも生産者の方々が一丸となって、「べと病」に罹った株の抜き取りや定期的な薬剤防除などを徹底された結果、今年産は、昨年産より「べと病」の被害は大幅に減少し、収穫量も回復しています。
 今後も、効果的な防除技術の開発などに取り組み、農家の皆様が安心して収穫を迎えられるよう尽力してまいります。
 次に、「池田学展 The Pen -凝縮の宇宙-」の開催について申し上げます。
 県立美術館において、1月20日から3月20日にかけて開催した「池田学展」におきましては、新作「誕生」をはじめ、ほぼ全ての池田作品を紹介しました。
 県立美術館最高となる95,740人が来場され、

  • 「池田学さんの絵は私の人生を変えたと言えます。」
  • 「楽しくてわくわくがいっぱいでした。」

など多くの賞賛をいただいたところです。佐賀城内エリアは、一足早く春が訪れたかのように、世代を問わず、県内全域をはじめ県外からお越しになる方々であふれ、活気に満ちていました。
 今回、「誕生」を取得するための議案を上程しておりますが、この佐賀の宝を県内外の方々に鑑賞いただき、子どもたちや若者たちに夢や希望を与え、県民の誇りの醸成や、新たな佐賀ファンの開拓に活かしてまいります。
 次に、県庁舎における新たな空間づくりについて申し上げます。
 県庁舎は、佐賀城内の堀端という歴史ある素晴らしい場所に立地しているにもかかわらず、これまで一般の県民の皆様が訪れることは少なく、その好立地を効果的に活かしきれてないことから、

  • 展望ホールでのプロジェクションマッピングなど「アート県庁」の開催
  • 旧知事室と旧来賓室を本県の歴史などを学べる場所「県庁CLASS」としてリノベーション
  • エントランスである県民ホールでの大画面による映像投影
  • 地下食堂のカフェスペースへのリノベーション

などに取り組んでいるところです。
 今後も、できる限り国の交付金を活用しながら、トライアルな取組として、県庁舎を単なるオフィスではなく、来訪者に開かれた心地よい空間として生まれ変わらせ、この地に新たな人の流れを創出してまいります。
 次に、情報発信の取組について申し上げます。
 12球団しかないプロ野球で、同じ県出身の監督が、同じ試合で采配を振るうことは極めて珍しいことで、それが本県であることは大変誇らしいことです。これを絶好の機会と捉え、緒方孝市監督の広島東洋カープと辻発彦監督の埼玉西武ライオンズの本拠地において、本県の観光・物産等のPRイベントを実施しました。特に「佐賀さいこう!同郷監督対決!」と銘打ち開催された、5月30日の所沢での対戦は大きな話題を呼び、翌日の主要スポーツ新聞全紙で紹介されました。今後とも、戦略的・魅力的な情報発信に取り組んでまいります。
 続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算編成後の事態の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
 この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ

一般会計  約46億92百万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計  約4,381億94百万円
特別会計  約1,103億97百万円

となっております。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、明治維新150年を契機とした佐賀の再興につきましては、「明治維新150年記念さが維新交付金」(仮称)を創設し、

  • 市町又は民間団体が実施する佐賀の偉業や偉人を顕彰する取組
  • 「志」を未来につなげていく取組

に対し支援することといたしました。
 また、博覧会を契機に佐賀が全国に誇る「食」と「焼き物」を県内外へアピールするため、佐賀城内エリアにある「さがレトロ館」と連携し、有田焼創業400年記念イヤーイベントで使用した人間国宝や三右衛門の器、明治期のデザインの器を使用し、佐賀の食材にこだわった料理を楽しむことができる特別な食の空間「ユージアム2(仮称)」を創設することといたしました。
 このほか、開催中の取組として、佐賀城本丸歴史館におきましては、日本で最初に反射炉を築いて鉄製大砲を鋳造し、実用蒸気船を建造するなど、当時日本最先端の技術力を誇った幕末佐賀藩の技を多彩な資料で紹介する特別展「肥前さが幕末維新の『技』展-日本の産業革命は佐賀からはじまった-」を開催するとともに、子どもたちが体験を通して学ぶことができる展示空間を設置することといたしました。
 さらに、県立博物館・美術館におきましては、明治維新期から現代に至る佐賀のアートを「美」と「技」というテーマで紹介する「温故維新-美・技のSAGA-」や、岡田三郎助のアトリエ移設を記念して、「はじまりはここから-岡田三郎助と女性画家たち-」を開催することとしたほか、幕末・維新期において日本の医療の近代化に貢献した佐賀藩における医療教育や対馬藩田代領における製薬業に関する展示などの企画展を開催することといたしました。
 九州佐賀国際空港につきましては、ティーウェイ航空によるソウル便のデイリー化、タイガーエア台湾によるプログラムチャーター便の新規就航に伴い、韓国人や台湾人観光客の増加が期待できること、さらに、台湾とのプログラムチャーター便は、定期便化を予定していることから、増便、新規路線に必要な運航経費に対し支援するとともに、外国人観光客の誘致を強化することといたしました。
 県総合運動場エリアの施設整備につきましては、誰もがそれぞれのスタイルでスポーツを楽しめる環境、国民体育大会・全国障害者スポーツ大会開催に必要な施設の整備等を図るため、アリーナの基本設計などを行うことといたしました。
 次に、予算外議案といたしましては、条例議案として、「佐賀県個人情報保護条例の一部を改正する条例(案)」など5件、条例外議案として「公平委員会の事務の受託について」など4件、合わせて9件となっております。
 このうち、乙第27号議案「佐賀県職業能力開発促進法施行条例の一部を改正する条例(案)」につきましては、若年者の技能向上等を支援する国の制度見直しに加え、本県独自に、全年齢を対象に技能検定試験1級から3級の受検料を減額する上乗せ措置を実施し、全国で最も手厚い負担軽減策を講ずることといたしました。
 今後とも、県内のものづくり産業を支える技術者等の人材育成や、ものづくり技能・技術の磨き上げが一層進むよう取り組んでまいります。
 その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載していますので、説明を省略させていただきます。
 最後になりますが、私は、知事就任以来、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念とし、様々な場面において、民間、各種団体、CSO、そして県民の皆様とともに、県の発展のために全力で取り組んでまいりました。
 現在、本県の有効求人倍率は県政史上最高を記録し、完全失業率は全国で最も低くなっております。また、本県における外国人宿泊者数の対前年伸び率は約40%、特に韓国からの宿泊者数の伸び率は約71%となりました。さらに、今年3月の県立高校卒業者の県内就職内定者の割合は、昨年より4ポイント増となるなど、取組の成果が表れてきています。
 今後、全国高校総合文化祭の本県開催、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、九州新幹線西九州ルートの暫定開業、そして国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の本県開催と、佐賀を国内外にアピールできる大きなイベントが続きます。これらを、佐賀の本物の素晴らしさを知ってもらい、国内外から来ていただく絶好の機会として最大限に活かし、本県の発展につなげていかねばなりません。
 そのために何よりも大切なことは、郷土への誇りと自信、そして、それを土台に築く志の醸成であります。
 来年は、いよいよ明治維新150年を迎えます。次の50年、そして100年後の後世の方々から、明治維新150年が佐賀の新たな歴史の転換点であった、佐賀維新の元年であったと語り継がれるよう、葉隠の一節「只今がその時、その時が只今也」を胸に、県政運営に全身全霊を傾けてまいります
。  以上、当面の諸課題への対処方針、最近の県政の主な動き、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。