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平成30年 6月7日
平成30年6月定例県議会 知事提案事項説明要旨

 本日、平成30年6月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成30年度補正予算案及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 提案事項の説明に入ります前に、去る4月23日にお亡くなりになられました井本勇元知事に対しまして、謹んで哀悼の意を表します。
 「住みたい県日本一」を基本目標に、3期12年にわたり佐賀県を導いてこられた知事としての功績は、世界・ほのおの博覧会の開催、有明佐賀空港の開港など枚挙にいとまがありません。
 在任時に語られた「佐賀県はすばらしいところだと自信を持っています。ですから、自信と誇りを持って佐賀県PRの先頭に立っています。」という言葉は、佐賀県への想いであふれています。こうした想いをしっかりと受け継いでいくことを胸に、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 さて、今年4月に発生した大分県中津市耶馬渓町の斜面崩壊は、現場が土砂災害特別警戒区域の指定地域ではあったものの、大雨や地震といった目に見える原因がない中で発生しています。災害は、いつ、どこで起こってもおかしくないということを改めて強く認識するとともに、こうした災害から得られた教訓や経験を活かして、防災対策の強化にしっかりと取り組んでいく決意を新たにしているところです。
 次に、今年2月5日に陸上自衛隊のAH-64D戦闘ヘリコプターが神埼市の住宅に墜落した事故について申し上げます。
 航空事故調査委員会の調査状況について、5月28日に防衛省から報告がありました。事故原因は、メイン・ローター・ヘッドを構成するストラップ・パック内部のボルトが破断し、ブレードが機体から分離したことによるものであり、操縦士の操作や整備士の整備に起因するものではないとのことでありました。また、ストラップ・パック内部の問題の原因究明がなされ再発防止策を確立するまでは、事故機と同型のヘリコプターは運航しないという報告もあわせて受けたところです。
 次に、この春の高校生の活躍について申し上げます。
 「全国高等学校選抜大会」では、団体で新体操男子の神埼清明高校が優勝、剣道男子で敬徳高校、クライミング男子で佐賀星生学園が3位に入賞いたしました。
 個人では、柔道で佐賀工業高校の近藤隼斗選手、レスリングで鳥栖工業高校の諏訪間新之亮選手がそれぞれ優勝するなど、輝かしい成績を収めています。近藤選手は、5月にポーランドで開催された柔道の国際大会で3位に入賞するという活躍も見せています。
 毎年4月には、全国大会で3位以内に入賞した選手による「全国高等学校選抜大会等上位入賞者報告会」を開催しており、今年は、一昨年の3名、昨年の27名をはるかに上回る41名の若者が県庁を訪れ、若い力の台頭を実感いたしました。
 春夏を通じて甲子園初出場となった伊万里高校は、強豪校を相手に力強く戦い抜き、また、スタンドをぎっしりと埋めて懸命に声援を送った応援団も優秀賞を受賞いたしました。
 佐賀の地で磨き合い、全国を舞台に活躍する若者たちを誇らしく思うとともに、私たち大人が今後もしっかりと支えていくことが、佐賀県全体の活力を高めていくことにつながると確信しています。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、有明海の再生について申し上げます。
 去る3月14日、佐賀県有明海漁協が、基金案とともに「有明海再生事業の継続」、「こまめな排水の確実な実施とマニュアル化」、「基金とは別枠での排水ポンプの増設」の実現という国への要望を表明されました。これを受け、3月28日に私が齋藤農林水産大臣と面談し、県として漁協の考えを支持した上で、有明海再生の観点から漁協が要望する項目について、国としてしっかり対応するよう求めたところです。
 また、5月1日には、佐賀、福岡、熊本の3県の漁業団体が、佐賀県有明海漁協と同様の考えをまとめ5月8日に齋藤大臣に直接伝えられました。
 5月22日には、福岡高裁が「開門しないことを前提」としつつ、新たに国に対して、

  • 有明海の環境変化の原因究明に関する調査を行い、有明海の再生に向けた取組を継続すること
  • 3県の漁業団体が要望する項目について前向きに検討すること

を求める2回目の和解勧告を出されました。
 そして、5月28日に福岡高裁において4回目の和解協議が行われましたが、開門派の弁護団は開門しないことを前提とした和解協議を拒否し欠席されたことから、次回の和解協議期日が設定されず、7月30日に判決となる見通しとなっています。
 県としては、本県を含む3県の漁業団体が和解の実現を強く期待されていること、また、国においては今後も和解の可能性が見いだされるよう真摯に対応していくとされていることから、引き続き訴訟の動向を注視してまいります。
 こうした中にあって、昨年度のノリ養殖については、漁業者をはじめとする関係者の努力により、生産枚数、生産金額ともに15年連続の日本一が達成されました。
 また、これまで資源回復に取り組んできたアゲマキについては、一部の漁場で22年ぶりの操業再開が実現し、ウミタケについても2年連続の試験操業につながるなど、一定の成果が見え始めています。
 県といたしましては、開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明や水産資源の回復に向けて、引き続き漁協にしっかりと寄り添いながら漁協の要望の実現を国に求めているところであり、今後とも、宝の海である有明海の再生に全力で取り組んでまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 県は、防衛省に対し、最近のオスプレイの事故やトラブルを踏まえたオスプレイの安全性に関する確認・検証結果の説明を求めているところです。県としても、オスプレイの安全性は重要であることから、防衛省の説明・見解についてしっかりと確認したいと考えています。なお、確認・検証結果の説明時期については、防衛省が判断されるものと考えています。
 次に、九州新幹線西九州ルート整備について申し上げます。
 去る3月30日に開催された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委員会において、国土交通省から、平成34年度の対面乗換方式での開業以降の整備のあり方について、フリーゲージトレイン、ミニ新幹線、フル規格それぞれの費用、投資効果、収支採算性などの比較検討結果が報告されました。この報告に対してJR九州や長崎県は、フル規格を求める趣旨の意見を表明されています。
 整備新幹線スキームにより進められてきた西九州ルートは、地元自治体である佐賀県、長崎県を中心とした『合意』があり、それを基本として整備されてきたものであります。このため、佐賀県の意思とは関わりなくフル規格での整備の話が持ち上がっていることに対して大変困惑し、違和感を覚えるものであります。
 フル規格での整備は、佐賀県の財政運営に大きく影響する莫大な費用負担を伴うものであり、県民のために取り組んでいる、あるいは今後取り組むべき施策に多大な影響があるものと考えています。
 このようなことから、5月11日の検討委員会においては、西九州ルートに対する佐賀県の考えとして

  • 西九州ルートの整備は、佐賀県の意思、両県の合意が大前提であること
  • フル規格での整備は受け入れられないこと
  • 平成34年度の武雄温泉駅での対面乗換方式による開業と肥前山口-武雄温泉間の全線複線化を確実に実行すること

を申し上げたところです。
 また、フル規格での整備には、ルートの選定や、新たに発生する可能性のある並行在来線などの問題もあります。引き続き、与党検討委員会における議論を注視するとともに、新たな提案などがあった場合は、県の考えをしっかりと主張してまいります。
 次に、原子力発電について申し上げます。
 玄海原子力発電所3号機については、3月23日に再稼働、4月18日に発電が再開、5月16日に営業運転が再開されました。
 この間、再稼働後の3月30日に2次冷却系設備から蒸気漏れが発生した際には、約7年間という長期停止後の再稼働ということから、県として専門家からの意見聴取を行い、その意見を踏まえた対策の確実な実施を九州電力に対し求めるなど、慎重かつ丁寧な対応を行ってまいりました。あわせて、県への連絡通報についても 「空振り覚悟」の速やかな連絡を要請しました。
 また、4号機については、5月3日に冷却水を循環させるポンプに不具合が見つかったため分解・点検が行われました。この件については、「漏えい」や「損傷」ではなく、再稼働前の機器調整を行う中での事象であったものの、情報連絡に関する県からの要請を踏まえた速やかな対応がなされたものです。現在、改めて機器の調整、検査が行われているところです。
 九州電力においては「安全の追求に終わりはない」という意識で、緊張感を持って慎重の上にも慎重を期して対応していただきたいと考えています。
 県といたしましては、原子力発電に対する県民の不安をしっかりと受け止め、何よりも県民の安全を大切に原子力発電所と真摯に向き合ってまいります。
 また、原子力発電に依存しない再生可能エネルギーを中心とした社会を目指すため、今年3月に「佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想」を策定いたしました。今後は、この構想に基づいて、再生可能エネルギーの普及拡大に寄与する先進的な取組を積極的に推進してまいります。
 次に、明治維新150年記念事業について申し上げます。
 去る3月17日の肥前さが幕末維新博覧会の開幕に際しては、薩長土肥の4県知事が佐賀に集い、地域の未来、そして日本の未来を共に考えることができました。先人たちの志は、今の時代の交流へとつながっています。北海道では、札幌の街の基礎を築き、北海道開拓の父と呼ばれる島義勇は、その銅像が北海道神宮の参道横にそびえ立ち、毎年、顕彰祭が開かれるほど市民に大事にされています。私も顕彰祭に参加し、「北海道は佐賀の夢と志が花開いた大地」と申し上げ、地元の新聞でも紹介いただきました。
 また、高知県に招かれた際には、大隈重信が新しい国づくりの原動力として建設を主導した鉄道が、明治5年に日本で初めて開通した時の逸話を紹介してまいりました。この時、明治天皇の御料車に続く車両に乗っていた武家出身の政府首脳6名は、佐賀藩出身が大隈重信、大木喬任、副島種臣の3名、土佐藩出身が板垣退助、後藤象二郎の2名、薩摩藩出身が西郷隆盛の1名であり、このことは、当時の佐賀が明治日本の近代化をリードしていたことを如実に表しています。これからも、こうした佐賀の誇るべき歴史を機会あるごとに広めていきたいと思います。
 維新博は、幕末維新記念館、葉隠みらい館、リアル弘道館の3館をメインパビリオンとして開催しており、これに関連施設やイベントを含めた来場者数は6月3日現在で約57万9千人であり、順調に滑り出したものと受け止めています。現在、県内の小学生、中学生が維新博の会場を訪れて学ぶ体験事業も展開しており、この維新博が、これからの佐賀を担う子供たちにとって未来を創り出していく力となっていくことを願っています。
 去る5月15日には、維新博の情報発信と「嬉野茶」をPRする「維新スクエア」が佐賀駅にオープンいたしました。ここでは、維新博の旬な情報を提供するとともに、嬉野市の旅館や茶農家とコラボし、歩きながらお茶を楽しみ、街を楽しむ“歩茶”という新しいスタイルを提案しており、この場所が、単なる案内所ではなく新たな文化の発信拠点となることを期待しているところです。
 次に、国民体育大会・全国障害者スポーツ大会について申し上げます。
 メイン会場となる総合運動場エリアについては、平成35年に県内で両大会が開催されることを契機に、SAGAサンライズパーク(仮称)として生まれ変わらせることとしています。陸上競技場の改修や水泳場の改築など両大会の開催に必要な施設の整備を進めるとともに、エリアの中核的な施設となるSAGAアリーナ(仮称)については、バレーボールのVリーグや、プロバスケットボールのBリーグの開催のほか、コンサートなどのイベント開催にも対応できる多目的施設として整備してまいります。このアリーナについては、Vリーグ、Bリーグの開催状況やコンサート関係者の意見を踏まえ、観客席規模を8,000席程度にすることといたしました。
 こうした中、県内では新たなスポーツチームが発足しています。4月には、佐賀県を拠点にBリーグ参入を目指す新チーム「佐賀BALLOONERS」が発足し、唐津市では3人制バスケットボールのプロチーム「KARATSU LEO BLACKS」がお披露目されました。こうした動きは、本県スポーツを活性化し、地域を大いに盛り上げるものであり、今後の両チームの活躍を期待しているところです。
 国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の開催を絶好の機会と捉え、県内のスポーツ文化をより一層広げていくとともに、アリーナの整備などを通じて新たな人の流れを創出し、このエリアが佐賀の未来を切り拓く「さが躍動」の象徴となるよう取り組んでまいります。
 次に、全国高等学校総合文化祭について申し上げます。
 「2019さが総文」については、今年度はプレ大会の開催を予定しており、本番を想定したパレードや総合開会式をはじめ、演劇や吹奏楽など23部門における部門大会などを実施することとしています。このプレ大会については、来年の本大会成功に向けた検証はもとより、開催に向けた気運醸成の点からも重要な機会と考えていることから、大会に携わる高校生の取組など、今後、県民の皆様方への情報の発信に努めてまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業については、今年度から「建設段階」へと移行し、いよいよダム建設の具体化に向けて、ダム本体や付替道路の調査・設計などが進められていくこととなりました。
 県といたしましては、水没地域住民の皆様に寄り添い、国や地元自治体と連携し、生活再建に向けた支援やダム周辺地域の活性化にしっかりと取り組むとともに、治水対策の促進や必要な予算の確保、自然環境や景観への配慮など、地域の実情を反映したより一層の事業進捗を国に働きかけてまいります。
 次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
 TPPについて、日本など参加11か国は、3月8日に米国抜きの新協定に署名しました。その後、各国で国内手続が行われており、我が国においても今国会において審議が行われているところです。今後の国の動向を注視し、協定発効により特に影響が懸念される農林水産業に関する情報を収集するとともに、県内の様々な声や関係団体の意見を聴きながら、地域産業が持続的に発展していけるよう必要な対応を行ってまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについてご説明申し上げます。
 まず、企業誘致の状況について申し上げます。
 昨年度の企業誘致件数は20件となり、3年連続で20件以上の誘致を実現いたしました。近年は、特にIT関連を中心とした事務系企業の誘致にも力を入れており、4月には伊万里市へ「エンザントレイズ株式会社」の進出が決定し、5月には佐賀市へ「株式会社インフォネット」の進出が決定しています。
 また、昨年佐賀市に進出いただいた「株式会社Cygames」が、更なる事業拡大のため自社ビルの建設用地として佐賀駅近くの県有地を希望されており、今議会には敷地を更地にするために必要となる予算を提案しているところです。
 今後も、製造業に加えてIT産業などを対象に、若者を中心とした多様な雇用の場を確保するため戦略的な企業誘致を推進してまいります。
 次に、九州佐賀国際空港について申し上げます。
 平成29年度の利用者数は、過去最高となる77万6千人を記録し、建設時の需要予測73万7千人を初めて突破いたしました。また、台湾便については、これまで台湾からの旅行客を対象としたプログラムチャーター便として運航してきましたが、7月29日からは佐賀発の利用も可能となります。今後、定期便化に向けて、台湾、佐賀双方向の利用促進に取り組んでまいります。
 空港施設の機能強化については、今年度、駐機場の舗装工事を行うとともに、旅客ビルの拡張工事に着手いたします。さらには、滑走路の2,500メートルへの延長に向けて環境アセスメントなどに取り組んでまいります。
 九州佐賀国際空港は、今年7月に開港20周年という大きな節目を迎えます。引き続き国内外のハブ空港との路線充実と施設の機能強化に取り組み、九州におけるゲートウェイ空港として更に発展させてまいります。
 次に、佐賀を支える社会資本の整備について申し上げます。
 去る3月31日に、西九州自動車道の南波多谷口インターから伊万里東府招インター間が開通し、九州横断自動車道の小城スマートインターチェンジの供用が開始されました。また、有明海沿岸道路や佐賀唐津道路については、九州佐賀国際空港をハブとした広域幹線道路ネットワークの中心的な路線と考えており、空港の利用圏域の拡大や、佐賀県医療センター好生館への救急搬送の時間短縮、さらには、地域資源を活かした広域的な経済活動の促進につなげていくため、この二つの道路が接続するエリア「Tゾーン」を重点的に整備していくこととしています。
 今後も、人々の暮らしを守るとともに、佐賀が未来へ飛躍する基盤となる社会資本の整備を推進してまいります。
 次に、全国ワーストレベルからの脱却に向けた2つの取組について申し上げます。
 まず、「がん対策の推進」についてであります。
 死亡率が18年連続全国ワーストワンという由々しき状況にある肝がんは、再発率の高さなどから治療費が高額になる傾向があります。このため、B型及びC型肝炎ウイルスに起因する肝がん及び重度肝硬変患者の入院治療費の一部を助成し、患者負担を軽減するとともに、臨床データを収集することで国における治療研究の促進につなげてまいります。
 女性特有の乳がん及び子宮がんについては、県内の死亡率が高い一方で、検診受診率は35%程度と低い状況にあるため、引き続き「ほっとかないで、ほっとしよう。」をキャッチフレーズに女性の検診受診を促してまいります。また、夫婦、親子、友人同士で誘い合って検診を受けるきっかけ作りとして、今年度も「ペア de 検診キャンペーン」を実施することとし、本日からスタートいたします。
 がんの早期発見、早期治療への県民の理解を深め、県民をがんから守り、がんになっても社会全体で支え、安心して暮らしていける佐賀づくりにこれからも全力で取り組んでまいります。
 2点目は、交通安全・事故対策についてであります。
 平成29年は、人口10万人当たりの人身交通事故発生件数全国ワーストワンから脱却することができました。一方で、依然として発生件数は全国平均を大きく超える状態が続いており、痛ましい死亡事故も後を絶ちません。
 5月に取りまとめた交通安全指導員に対するアンケート結果からは、「横断歩道を渡ろうとする歩行者がいても止まらない」、「携帯電話を使用しながらの運転が多い」、「ウインカーを出すタイミングが遅い」といったことを指摘する声が見られることから、「交通事故ワースト脱却推進プロジェクト」の展開を通じて、県民一人一人の交通ルールの遵守と交通マナーの意識改革に取り組んでまいります。
 がん対策も交通安全・事故対策も「大切な県民の命を守る」という私の強い想いを込めています。県民の皆さまの理解と協力を得ながら、佐賀の未来のために全力を尽くしてまいります。
 次に、魅力高まる城内エリアについて申し上げます。
 県立図書館前の広場と県立図書館は、一体的にリノベーションしたことで「こころざしのもり」として生まれ変わりました。広場は、親子で楽しく過ごせるよう一面を芝生とし、図書館南側と階段状のデッキでつないだほか、子供たちが想像力を働かせて遊ぶことができる空間として整備いたしました。図書館1階には、オープンスペースを設け、窓際のカウンター席では芝生広場で遊ぶ子供たちを見守りながら本を読むことができ、多くの親子連れに利用していただいています。
 県立美術館にも新しい魅力が加わりました。佐賀が生んだ日本近代洋画の巨匠である岡田三郎助のアトリエを東京・恵比寿から移築し4月1日にオープンいたしました。100年前のアトリエの雰囲気を再現し、ミニコンサートやワークショップなど多目的に貸し出せるスペースもあり、県民の皆様に新しい文化活動の場として活用していただきたいと考えています。
 次に、佐賀の魅力発信について申し上げます。
 去る4月18日、有田町に、海外のクリエーターが創作活動のために長期滞在できる機能を備え、クリエーターの受入・交流を通じ有田焼の魅力を発信していく拠点として、デザイナーズホテル「arita huisアリタ・ハウス」がオープンいたしました。
 また、県窯業技術センターでは、有田焼のデザインと用途の可能性を広げるメタリック調の光る上絵の開発に成功いたしました。これまでの有田になかった拠点と新しい技を活かすことで、有田の魅力を世界に向けて発信してまいります。
 香港には、佐賀県産の食材に特化した和食レストラン「佐楽」がオープンいたしました。佐賀県出身者が社長を務める「C&Saga Dining」が運営する和食店で「炙り焼きと佐賀蔵酒」をコンセプトに、佐賀牛の炙り焼きをはじめ、佐賀海苔で巻いて食べるサラダを提供するなど、こだわりの県産品を有田焼の器で楽しむことができます。佐楽を香港における県産品の販路拡大のための大切な場所として位置づけ、一層の販路拡大と認知度向上を図ってまいります。
 次に、外国クルーズ船の寄港について申し上げます。
 佐賀県初となる外国クルーズ船の寄港が4月、5月と連続して実現し、唐津港を起点に欧米の多くの旅行客に唐津の景観や伝統文化、食を楽しんでいただきました。唐津港が国際的な観光港として、クルーズ船による県内観光の拠点となるよう官民一体となって取り組んでまいります。
 また、唐津港に隣接する九州電力旧唐津発電所跡の廃止施設の取り扱いについては、昨年11月から県、唐津市及び九州電力の間で協議を行い、これまでに燃料タンク及び煙突2基については平成32年度までに撤去するというスケジュールが九州電力から示されたところです。引き続き3者による協議を進めてまいります。
 次に、吉野ヶ里歴史公園について申し上げます。
 平成29年度の吉野ヶ里歴史公園の入園者数は、「子育てし大“券”」の配布や公園内イベントの充実などにより、平成13年度の開園以来、過去最高を更新し73万5千人を超えました。今年4月1日からは小学生、中学生の入園料を無料化したところであり、レクリエーション空間として、さらには、子育て環境としての魅力を県内はもとより福岡都市圏の子育て世代へと伝えてまいります。
 続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算編成後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
 この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ、

一般会計  約37億99百万円
特別会計 減額1億70百万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計  約4,406億46百万円
特別会計  約1,949億31百万円

となっております。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、消防防災ヘリコプターの導入に向けた予算について申し上げます。
 県民の安全・安心のため、災害発生時の迅速な初動や人命救助に対応できる消防防災ヘリコプターを導入することとし、ヘリコプター本体及び装備品の購入に向けた手続きを開始することといたしました。また、拠点となる施設を九州佐賀国際空港に整備することとし、県内の災害対応のみならず大規模災害発生時には他県からも広域応援を受けることができるよう、整備に必要な土地の測量、地質調査、基本設計などに着手することといたしました。
 次に、建築物の耐震化に向けた予算について申し上げます。
 大規模地震発生時に、多数の方の避難や緊急車両の通行を確保するため、特に重要な道路を県又は市町において耐震診断義務化路線として指定し、その沿道にある建築物の耐震化を促進することとしています。このため、耐震診断が義務化される建築物について、所有者が実施する耐震診断、耐震改修などに要すると見込まれる経費を、国の補助制度を活用し県と市町が連携して支援することといたしました。
 次に、園芸農業の振興に向けた予算について申し上げます。
 全国一の出荷量を誇るハウスみかんなどの効率的な選果を行うため、現在、唐津市内に3か所ある施設を集約して、最新鋭の選果機を整備する取組を支援することといたしました。これにより、選果、出荷コストの削減とあわせて、糖や酸などのデータを活用した一層の品質向上を図っていくこととしています。
 次に、予算外議案といたしましては、条例議案として、「佐賀県医療法の施行等に関する条例の一部を改正する条例(案)」など3件、条例外議案として「公平委員会の事務の受託について」など4件、合わせて7件となっております。
 その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載していますので、説明を省略させていただきます。
 最後になりますが、私は、佐賀の未来につなげていくために、人が育ち、活躍できる佐賀へと種を蒔き続けてまいりました。
 その取組の一つとして、SSP構想(SAGAスポーツピラミッド構想)をスタートさせました。スポーツ文化の裾野を広げるとともに、佐賀を拠点とするトップアスリートを養成し頂点をより高くすることを目指して、5月に行政、教育、スポーツ、経済団体の代表者による「SSP構想推進本部」を立ち上げ、オール佐賀の志でスポーツ文化の新しい時代を切り拓く一歩を踏み出したところです。
 7月には「スポーツエリートアカデミーSAGA」を開設し、国体強化指定選手を対象に、競技団体、指導者のみならず、スポーツ医科学、栄養学などの専門家の協力を得て、競技力向上に向けた支援を行っていくこととしています。
 5月に開催された大相撲夏場所では、父が白石町出身で白石を第二の故郷とする旭大星関が10勝5敗の好成績で敢闘賞を受賞し、故郷唐津にこだわった名前を使い続けている唐津海が7戦全勝で三段目優勝を飾りました。こうした佐賀にルーツを持つ人が、これまでもスポーツ界をはじめ様々な分野で躍動し、県民に喜びと力を与えてきてくれました。
 私は、佐賀への想いを胸に抱き活躍されている方々をこれからも大切にし、県民全体で応援し支えていきたいと考えています。それは、そのことが県民の佐賀への愛着や誇りをより高め、そこからまた優秀な人材が生まれる好循環へとつながっていくと確信しているからであります。
 子供たちはそうした動きを敏感に感じ取ってくれています。肥前さが幕末維新博覧会のメインパビリオン「幕末維新記念館」でも、佐賀への誇りが芽生えた子供たちの想いを垣間見ることができます。会場の一角に、「未来への“種”を蒔こう!」と呼びかけて、50年後へのメッセージを書き残す「ことのは結び」というコーナーがあります。そこに綴られた言葉には、「この佐賀に生まれてよかった。」、「昔のさがはすごいなぁ。負けないようにがんばるぞ。」、「ゲームしてる場合じゃねぇ。」といった子供たちの前向きな気持ちがあふれています。
 こうして芽生えた想いをまっすぐに伸ばし、未来の佐賀県で美しい花を咲かせてもらうためには、私たち大人がしっかりと土を耕し、水をやり、大切に見守っていかなくてはなりません。私は、未来に向けて種を蒔き続けていくとともに、“佐賀だからできる”、“佐賀だから頑張れる”、そうした土壌を育て「佐賀の時代」を創り出していくべく全力を尽くしてまいります。
 以上、当面の諸課題への対処方針、最近の県政の主な動き、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げました。
 よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。