佐賀県板金工業組合の創立50周年を心からお喜び申し上げます。
この50年の歴史の中で、共同購買事業や技術研修会をはじめとした貴組合の取り組みは、業界全体の技術や経営の底上げに貢献し、優れた職人を生み出す素地をつくってきました。
2012年10月、東京駅丸の内口駅舎の復原工事が完成し、辰野金吾が設計した往時の姿を取り戻しています。
当時の私は総務省の過疎対策室長として東京駅から全国各地に飛び回っていました。復原された屋根や窓と柱の飾りが、佐賀県の板金職人の方の手によるものとお聞きして、駅舎を見上げては、うれしい気持ちになったことを思い出します。
屋根には丸みやそりがあって、長さや幅が微妙に違う銅板一つひとつを職人が経験と勘を頼りにたたいて合わせることで、ようやく銅板屋根全体の美しいラインが姿を現します。きっと屋根全体の完成予想図を頭に描きながら、僅かなミスも許されない作業が続いたことでしょう。
私は、関わられた職人の方の技術力と気概に感服するとともに、そうした職人の技が故郷に生き続けていることに、大きな誇りを感じました。そして、私達にはそうした技や心意気のすばらしさを新しい世代に伝えていく責務があるとの思いを強くしました。
いつの時代になっても、きらびやかに輝く銅板屋根がある風景を見上げていたい――。もっと多くの人に技能や技術に尊敬の心を持ってもらい、若者が誇りと自信を持って板金工などのものづくりに携わることができるよう、私も組合の皆様と一緒に力を尽くしていきたいと思います。
最後になりますが、佐賀県板金工業組合の皆様が、板金技術の向上、振興にご尽力されてきたことに心から敬意を表するとともに、今後ますますのご発展を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。