スーザン・バーレイさんという方が描いた「わすれられないおくりもの」という絵本が私の手元にあります。
かしこくて、みんなに頼りにされていたアナグマが命を落とし、残された友だちは深く悲しみます。しかし、ハサミの使い方からパンの焼き方まで、アナグマが教えてくれた色々なことを互いに語り合う中で、悲しみは消え、楽しい思い出を話せるようになりました――というお話です。
最期の日、アナグマは丘に登って、モグラとカエルの楽しそうな様子を眺めながら、「しあわせな気持ちに」なったと書かれています。残していくものへの心残りを感じつつも、自分が贈ったたくさんの「おくりもの」と、その中にある大切な「思い」が、みんなの心の中に生き続けていくことの幸せでいっぱいだったのです。
私たちは次の世代にどれだけの「おくりもの」を手渡すことができるでしょうか。アナグマは、知恵や工夫そのものだけでなく、互いに助け合いながら生きていこうという「思い」を残していきました。私たちがすべきことは、ふるさとへの誇り、家族や友人との絆といった、大切な「心」をしっかりと伝えていくこと。それが、この愛すべき地域への一番大きなプレゼントになるのではないかと私は思っています。
国際交流や献血運動をはじめとしたロータリークラブの皆さまの多方面にわたる奉仕活動とその熱意は、必ずや「わすれられないおくりもの」となって、人びとの心の中に残ることでしょう。そして、地域のためにと自ら一歩を踏み出された皆さまの後ろ姿をみて、自分がこのまちを何とかするんだという思いを持つ人がもっと増えてほしいと願っています。「おくりもの」を手にした人びとの笑顔を胸に、ともに力を尽くしていきましょう。
最後になりましたが、国際ロータリークラブ第2740地区大会のご成功と、貴地区のますますのご発展を心からお祈りして、お祝いの言葉といたします。