幕末の佐賀藩は、西洋文明をいち早く取り入れたことにより、明治維新の礎を築く一端を担うこととなりました。その活躍を支えたのは、10代藩主・鍋島直正公が設置した「精煉方」をはじめとした、科学技術や産業技術の研究開発拠点でした。
それから150年余の時を経て開設した「佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター」。九州唯一、また、産業利活用を主な目的とするものとしては全国初の施設として、佐賀の地に誕生しました。幕末から明治維新にかけて「ものづくり」へ情熱を注いできた伝統は、最先端の技術を導入しながら、現代にも連綿と受け継がれています。
研究センターを開設してからの10年間、新時代の知の拠点となるべく、設備の増設や用途の拡大などを積み重ねながら、順調に利用実績を伸ばしてきました。そして今、企業や大学、研究機関の皆さまとともに追い求めてきた成果が、少しずつ形になり始めています。
佐賀発のシンクロトロンの光が、次の10年、さらにその先における地域産業の核として、世界の未来へと真っ直ぐに進んでいくことを期待しています。