記者会見

●発表項目:BSE(牛海綿状脳症)の全頭検査の継続について
 次に、BSEの全頭検査の継続について発表させていただきます。
 佐賀県におきましては、このたび、BSEの全頭検査を継続することといたしました。
 現在、国ではBSE検査の見直しが検討されておりますが、まずこれについて私なりの考え方から申し上げたいと思います。
 我が国で初めてBSEが確認されてから3年が経過いたしました。当時も全頭検査の是非について議論がなされました。その結果、EUにおいては、30カ月齢あるいは24カ月齢という基準があり、一たんは政府として、そういう基準に従って検査をやろうと決めたものを、その後、与党内における議論を反映して、全頭検査に踏み切ったという事実がございます。
 今回の政府における見直しの中でも、「30カ月齢で切ったらどうか」「24カ月齢であったらどうか」、そういう議論があったと聞いておりますが、昨年、23カ月齢、21カ月齢という比較的若い牛のBSE感染牛が確認されてから、今回では20カ月齢以下の牛はBSE検査の対象から除外することとしようではないかということが議論の中心となっております。
 しかし、私はこれでは十分に国民が安心して安全と感じるところまではいっていないと感じております。
 確かに専門家の議論にありますように、20カ月齢以下の感染牛の検出は、今の検査法では技術的に困難であります。また、20カ月齢以下の牛では、異常プリオンの蓄積量は少ない。したがって、特定危険部位と呼ばれるところをきちんと除去すれば、BSEの原因物質である異常プリオンの99%以上は取り除くことができ、人への感染リスクは排除できる、このような議論がなされております。
 このことは、私どもとしても理解できるところであり、20カ月齢以下の牛を検査から除外しても、安全性そのものには問題ないということについても理解できると考えているところでございます。
 しかしながら、私は安全と安心は別物であろうと思っております。安全というものは、最低限口にしても病気にかからないもの、そういった最低限のレベルが安全というものであろうかと思いまして、その意味では、現在国で行われております安全性の議論というものは理解できるわけでありますが、では、そうであるからといって、県民、国民が安心できるというレベルまで達しているかというと、私どもはノーではないかと思っているところでございます。
 今回、私ども職員が手分けをして、県内のあちこちのスーパーなどに出かけて行き、実際に県民の方々のこの問題に対する問題意識も調べてまいりました。その結果、この牛肉を食べるということについては、すべての県民が自分のこととして問題をとらえておられるわけでありますが、「引き続き全頭検査を実施すべき」という県民が4分の3近くを占め、圧倒的でありました。
 安全性の議論を専門的にするならば、EUの検査で行われていたように、本来であれば24カ月齢以上の症状を示している牛と、30カ月齢以上の牛全頭、これで足りたはずであります。しかしながら、実際にやってみたら、30カ月齢以下のものであってもBSEに感染した牛が確認されました。無論、理論的に言えば、特定危険部位を除去すればどんな牛でも口にしても大丈夫だということになるわけでありますけれども、行政として求められているものは、科学的に安全というところで足れりとするのではなく、どうやったら県民、国民の方々に安心感を持って牛肉を口にしていただくことができるかということではないかと私は考えます。
 こうしたことから、佐賀県では、20カ月齢以下の牛もこれまで同様全頭検査をすることとしました。
 本県の20カ月齢以下の牛は、年間 8,000頭の牛の処理のうち 1.6%であります。頭数にしますと約 130頭であります。この数であれば、すべて県内で処理することが可能になります。このことから、もし国が20カ月齢で線引きをしても、県内で処理される20カ月齢以下の牛について、我が県がBSEの検査をすれば、県内で処理される牛はすべてBSE検査をしているということになるわけであります。
 しかしながら、佐賀県だけが単独で検査をして、佐賀県産の牛が安全だからと言っても、県民の皆さんの安心感には必ずしもつながらないということも、またお伝えしなければなりません。それは、牛肉は全国的に流通していて、県内のスーパーを見ましても、県産牛を販売しているところはむしろ少なく、県外産や外国産の牛肉が多く並んでいるというのが現状だからであります。
 したがいまして、本来であれば、佐賀県だけでなく、全国一斉にしない限り、店では検査済みと未検査の牛肉が併存して販売されることになります。
 今回の我が県の措置が、直接的には県民の皆様に安心して牛肉をお買い上げいただくということにはつながらないということも、問題点として私どもも認識をしているところでございます。
 では、「なぜ佐賀県が全頭検査を継続するか」というと、繰り返しになりますが、先ほど来申し上げておりますように、安全と同じように、安心ということも重要な観点であるからということに尽きるわけであります。
 また、全国でトップレベルにある佐賀牛を産出する県として、佐賀県で処理された肉は安心であるということを、佐賀県から全国に向けて発信したいということであります。
 今回、佐賀県が全頭検査をすることを表明することで、態度を決めかねている他の県にも呼びかけ、全頭検査に向けて取り組んでいただくようにご決断いただくとともに、強く国に対しても、全頭検査を継続するような流れになるよう作用することを期待しております。


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