記者会見

●「有明海再生機構(仮称)」設立準備会の発足について
 では、私の方からの発表の最後になりますが、今回、有明海再生機構、仮称でございますが、これの設立準備会を発足させることになりましたので、その点について発表させていただきます。
 有明海の再生に向けて、いろんな立場の方々の研究を結集し、そして、それを再生の政策につなげていくための調査研究を行う機構「有明海再生機構」を今回立ち上げることとし、本日ここに、九州大学の楠田哲也教授、そして、佐賀大学の荒牧軍治教授にお越しいただきました。設立準備会を今月中旬に行い、法人の認証の目標を来年の4月と考えております。具体的な法人形態としては、NPO法人ということを念頭に置きつつ、進めていく予定にしております。
 この有明海再生機構設立の趣旨については、趣旨というペーパーにまとめて書いてございます。有明海再生に向けて、あらゆる立場の方が結集をし、有明海の再生に取り組むこと、そのために、大学、国、県の研究機関や企業、NPOなどをネットワーク化して、有明海再生に向けた調査研究を戦略的にコーディネートしていく機関として、有明海再生機構を設立しようとすることとしたものであります。
 それでは、本日お越しの楠田先生と荒牧先生から一言ずつ、この有明海再生機構にかける思いについてお話を頂戴できればと思います。

○九州大学・楠田哲也教授
 ただいまご紹介をいただきました楠田哲也でございます。
 有明海再生機構の設立準備に当たりまして、設立発起人の一人として、その内容を簡単に説明申し上げ、私の思いの一端を述べさせていただきます。
 有明海を豊穣の海に戻したいと思います。有明海の一次生産に係る経済の持続は、持続性のある環境により支えられると考えております。
 有明海には、一次生産の場として、私たちや子孫が生きていくために、どうしても必要な場であります。私たちの世代でこの生産の場をだめにしてしまうということだけは避けたいと思っております。
 大学の研究者の方々も、有明海をよくするために研究を日夜続けてくださっています。佐賀大学を初め、熊本大学、長崎大学、熊本県立大学など枚挙にいとまがありません。
 特に、佐賀大学では、有明海プロジェクトの推進に向けてご尽力されております。水産試験場、あるいは県の保健環境研究所(環境センター)を始め、公設の研究機関や行政機関もそれぞれの立場から努力をしてくださっています。
 国でも、有明海の特措法に基づき、環境省、農水省、国土交通省、経済産業省、文部科学省など、それぞれが連携して、調査評価委員会を設置し、有明海・八代海の環境問題の分析を進めてくださっております。さらに、多くのNPO法人や住民団体も、それぞれの立場から問題解決に取り組んでくださっています。
 もちろん、私が関係しております有明海・八代海研究者会議も、研究者の立場から検討を続けさせていただいております。この皆様方の涙ぐましい努力は、本当に涙するほど嬉しいものであります。
 ところで、このような皆様方のご努力が、有明海を再生させるために本当に有効に生かされているかということになりますと、残念ながらそうはなっていないと思います。その理由は、有明海を豊穣の海に戻すという夢を現実のものにする具体的なプログラム、アクションプランを考える組織体そのものが存在しません。2番目に、有明海を部分的でなく、全体を一まとまりとして考えて豊穣の海に戻すことを目的に、具体的に行動できる組織体がない。3番目に、大学と研究機関の研究者の研究効率、行政の施策効率、関係者の貢献の効果を高めていく潤滑油的な組織が存在しない等であります。
 そこで、今知事から紹介になりました有明海再生機構を設立するということになりました。その趣旨は、お手元の書面のとおりでございますし、この機能は、やはりお手元にお配りしておりますイメージ図のとおりでありまして、それぞれの組織体が連合して有明海を再生していこうということでございます。
 つまり、有明海再生機構は、有明海を豊穣の海に戻すことを目的に、強力な実行かつ支援組織として機能できることを願っております。さらに、有明海という地域から国を見るとともに、世界の閉鎖性海域につなげて、世界の環境を見守っていくということを、この佐賀の地から発信していきたいと考えております。どうかご支援のほどをよろしくお願いいたします。

○佐賀大学・荒牧軍治教授
 佐賀大学の荒牧です。有明海の問題が発生した当初から、私たちは仲間と一緒に二つのことをやりたいと考えました。
 一つは、今日発足にたどり着いた有明海再生機構のような学術的、あるいは政策的な問題を議論する場が欲しいということが一つです。それからもう一つは、有明海は、問題をたくさん抱えているけれども、それでもまだなお楽しい、豊かな海である。そのことをこの有明海湾奥部に住む我々が、理解して楽しんでいこうという、そんな組織をつくろうではないかということで、前回、記者会見のときも話させていただきました「有明海ぐるりんネット」というのをつくって、NPO法人の活動をしていこうと考えました。それは、まだ準備会の段階ですが、たくさんの方に集まっていただいて、そういう方向では動き出したんですけど、有明海を本当に楽しんでいくというか、我々の海として取り戻していくには、今楠田先生がおっしゃったように、有明海そのものがよくなっていかないと全く意味がない、そのように思います。
 その中で、特にここの地域に住まう我々が、基幹産業の一つである漁業であるとか、それから我々が最も楽しみにしている食であるとか、そういうものの豊かさを取り戻していくというのがどうしても必要で、その指令部になるところが欲しいということをずっと言い続けてきました。
 佐賀県、それからたくさんの方々のご尽力で、この再生機構の設立までこぎつけられたということについて、非常に感謝をしたいと思います。お呼びがかかりましたので、私、少しでも手伝えることがあればと思って、参加させていただくことにしました。
 それと同時に、私、今現在、佐賀大学の有明海研究プロジェクトである有明海総合研究プロジェクトのプロジェクトマネージャーをやっています。それは今度のような、このような組織ができたときに、地元の大学である佐賀大学がその受け皿をきちっとつくっておくということ、それが必要だと感じました。それで、学長以下、皆さん方にお願いしてその組織をつくっていただいて、今活動しています。
 大学の研究というのは、ややもすると、先ほどおっしゃったように、学者の興味といいますか、知りたいことというところに集中されていきます。その知りたいことが原動力であることは間違いがありませんけれども、そのことが今度の有明海問題の中でどのように位置づけられるのかという評価、それからもう一つは方向性、どっちの方向に向かって研究をすれば、全体の中によい方向に自分たちが寄与できるか、そのことは、我々だけではとてもできないと実感していますので、このように、楠田先生を初めとするたくさんの方々に参集いただいて、こういう学術的なものを議論する場ができたということが、非常に心強く思っております。
 我々は我々として、自分たちで資金もつくり、それから研究者も集めてやっていきます。それと同時に、ここで与えられた仕事、テーマ、そのようなものも、佐賀大学としては積極的に受け入れていきたいと思っています。
 まず、このような組織を、佐賀県を中心にして組み立てられた皆さん方に、本当に感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

○知事
 こちらからは以上でございます。
 なお、もしよろしければ、2人の先生にも来ていただいておりますので、有明海再生機構についてのご質問をまずしていただければと思います。


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