記者会見

●質疑応答:城原川ダム問題に対する方向性について(2)
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○STS
 県側の窓口はどちらになって、いつぐらいから具体的に事業に取り組めるような形で話をまとめる形になっているのですか。
○知事
 脊振村の事業の窓口はこれまでと同じように県の河川砂防課でと考えておりますが、これからの事業の展開によってはまた別のところもあり得るかもしれません。
○STS
 事業をやるということになった時に、いつごろから取りかかれるように、期限をどの辺に持ってくるのかという、どれぐらいの期間を置いて話し合いをするのかというのはありますか。
○知事
 村の方からどういう事業の要望が、どういうタイミングで出てくるかということによって違うかと思います。それがもう待っていましたとばかりすぐ出てくるようであれば、来年度予算からでも何か対応できるものがあれば、それはやっていくかもしれませんし、そういうこと自体については、もう地域としてもきちんと考えをまとめるからということであれば、しばらく時間がかかるかもしれません。
○佐賀新聞
 水没地域振興策なんですけど、特に水没予定地であるがゆえに、今までいわゆる公共的な施設、公民館とか、あるいは圃場整備などができなかったという状況があると思うのですが、結論が出ない前に、住民が満足できるような振興策というのができるのか、ちょっと疑問がわいているのですけれども、その点はどうでしょうか。
○知事
 はい、確かにそういうことがあるからこそ、今までは手をつけずにいたということであったと思います。これだけ待っていただいていて、しかも、仮に実際、ダム案でやるということを決めたとしても、国や九州地方整備局の予算の関係で直ちにダムに着手するということは実際上、不可能であります。嘉瀬川ダムにあれだけの国費が投入されている以上、現実的には嘉瀬川ダムが終わってから以降でなければ、ダムの建設も難しいであろうということを考えますと、実際にはダムの供用開始までにはまだこれから10年から20年ぐらいはかかるであろうということが想像されるわけであります。逆に、その間において、ある意味、効用が持続するような形で何か物をつくるということも考えられるのではないかと思いますし、場合によっては、そこにつくったものを、仮にダムの案によることになった場合にはそれを水没しないところに移設をするということも含めて、考えられるのではないかとも思っているところであります。
 ただ、いずれにしても、一部においては、結果的にあまり長い期間使うことができないようなものを整備しなければならないということにもなるかもしれません。できるだけ無駄がないようにはしたいと思っておりますけれども、そのことについては先ほども申し上げましたように、県民の皆さんのご理解をお願いしたいと思います。
○佐賀新聞
 振興策はいつぐらいにまとめるということになりますか。
○知事
 それも、まずは脊振村の方と話をしてみて、向こうの方の「タマ」の出し方によってということになると思います。
○西日本新聞
 個人に対する金銭の補償というのは、全然考えていらっしゃらないのですか。
○知事
 それは非常にデリケートな問題ですけれども、基本的には個人補償ではなく、その地域に対する振興策ということが柱だというように考えておりますが、そういう声が出ているということは承知をしておりますので、そのことも含めて脊振村と話をしていきたいと思っております。
○西日本新聞
 関係首長会議はいつ頃つくって、月何回のペースとか、どういうペースでされていくのですか。
○知事
 お互いにこの時期から議会が入ってくるということもあるわけなのですけれども、今週から来週ぐらいにかけて日程の調整を行いまして、大体のペースとしては月2回ぐらいは行いたいと思っています。場合によっては夜やるとか、朝やるとか、そういったことも含めて考えていきたいと思っております。
○朝日新聞
 ちょっと毛色の違う質問をします。今回のこれまでの進め方、この城原川ダム問題についての議論の進め方、県民協働という観点で見た場合、何点おつけになっていますか。まあ多分、 100点とは出てこないのかなと思って、何が 100点から足りないのかと。これを見る限りでは、地区懇談会の進化版を明示されているようで、改善がいろいろあるのかと思うのですが、他にどんな改善があるのかと。
 それで、なぜこのようなことを聞くかというと、この前にも話しましたけれども、多分、知事の展望、何らかの形で県民に後から審判を受けるために、三位一体の改革の話、やり方だとか、身の回りの生活をどう豊かにできたかだとか、あと、それと同じで、どういう政治的な決断をしてきたかというようなことで問われるのかなと思いまして。その中で、県民協働というのは、知事が最初からおっしゃっていることでもあるし、今回の城原川ダムの議論の仕方というのは、県民協働のモデルケースだというお話も以前川上副知事から聞いたこともあるし、最近の行政と市民、県民とのパートナーシップみたいなのを上げてみると、三鷹市の基本構想策定書とか、そういう話を見ると、やっぱり市民、県民の側も勉強して、十分知識を得てお互いに力を出していこうというような流れがあるので、知事も今回、こういうようなことをやりたかったのかなとも考えたのですが、その中でアンケートを地区懇談会でとってみたら、95%が理解できたと答えてみたりとか、あと流域委員会に地元住民を入れて、彼らがすごく議論を深めたりとか、そういういいことがあった反面、やっぱり全体懇談会になっても、どの場所に行っても同じことを繰り返してしか話さない人も出てきたし、あと僕が取材した範囲内では、視点としては、国としてはニュートラルにやろうと思っているようだけれども、「ダムありき」に聞こえたとおっしゃっている方もいたとか。そういうことを全体的にひっくるめて考えてみて、まだ中間テスト段階ではありますけれども、知事はここまでの話の進め方、県民協働は何点と考えられますか。
○知事
 県民協働という点について言えば、今お話しがあったように、流域委員会について意見が分かれていることを承知の上で、その自治体が推薦する委員を入れたということであるとか、ダムや河川事業に対する意見の内容というものを、ある意味、この人はダムに賛成だから入れようとかというのではなくて、筋の通った考え方の方に入っていただくという形で公募委員を入れたということなど、そういうやり方を含めて非常に県民協働の一つのモデルたり得たのだと思っています。
 私も今回の判断をするに当たって、流域委員会の議論をもう一度読み直して、その公募委員や自治体推薦の委員で来られた方のいろんな意見を参考にしたということも事実であり、その点については合格点をいただいていいのではないかと思います。
 ただ、県民協働で進めていくということは、往々にして最終的な結論に至るときにそこまで進まないというリスクもあります。
 私としては、流域委員会に1年間かけて議論をしていただき、この点についてはこうだという形での、いわばゼロか1かというものが判断できるような答えをある意味期待したところもありましたが、7割、8割方というところで終わったというところでありましょうから、その残った分を私が引き継いで、県民協働の手法でさらに議論を続けていくということを思ったわけであります。その県民協働の一つが地区懇談会のやり方の進化ということもありますけれども、上流と下流の住民の方のワークショップというものをつくって、そこで上流の人と下流の人とでお互いに思っていることだとか感じていることということもやってみたいと思っているのですね。そのこと自体が即、決定につながるかといえば、それは「ノー」かもしれませんけれども、そういうことをすることによって、少しでも合意形成を図っていきたいと思っているところであります。
 満点ではないと思いますが、50点ぐらいでもなく、70点ぐらいはいただいてもよいのではないかと思っておりまして、それをさらに 100点に近づけていきたいと思っております。
○読売新聞
 関係首長会議と脊振村との協議ですけれども、これは公開ですか。
○知事
 それはちょっと話してみます。向こうの方がいろいろお話をするときに、そうであった方がいいのか、そうでない方がいいのかという意向があると思いますので、関係首長会議についても関係首長と話をしてみますが、仮にその会議自体が公開によらない場合であっても、どういう内容が話されたかについてはブリーフィング(事前説明)なりなんなりで内容がきちんと伝わるようにしたいと考えます。
○西日本新聞
 議論の進め方で、要するに関係首長でダムによらない案を軸に検討されていて、最終的に地域の安全度が下がること、つまり水害が発生することを受け入れた上でダムの反対を表明され、そういう結論になったとします。果たして河川管理者、県民の生命、財産を守る知事として、地域が水害を受けることを受け入れたからといって、果たしてそれをそのまま知事の判断に結びつけていいものかどうかというのは、どのようにお考えですか。
○知事
 もちろん、その問題が大きな問題としてあるわけで、先ほど申し上げたように、仮にそうした場合にも行政側として治水上の責任を果たしたと言えるのかどうかという点がポイントになるだろうと思います。
 また、被害といってもさまざまであります。1日か2日、田んぼが浸かるという話と、命が損なわれるほど大きな水害が起きるというのとでは違います。どの程度の雨が降ると、どういう地域にどの程度の被害が起きるのかということについて、そういったものを見た上での判断ということになってこようかと思います。
 今回、行おうとしている整備計画によれば、 150年に一度の洪水に堪えられるということを前提にしておりますが、それは逆に裏を返せば、それ以上の確率のものが起きたときには、それは堪えられないということになるわけでありまして、ただ、そういったものを大きく時間軸をとればとるほど、過大な設備をつくらなければいけないということになってしまいます。どの程度のものをつくれば、それである程度の安全性も確保され、また、責任を果たすことができるのかという点について、これまでやや詰めが不足していたと考えますので、その点を詰めていきたいということであります。
○毎日新聞
 ダムの有効性は認めているということですが、これはダムによる案とダムによらない案と比べて優位だということなのですか。
○知事
 いや、優位かどうかは別にして、ダムそのものというのはこの城原川の治水対策等を考えた場合には有効なのではないかと流域委員会でも議論がされ、そういう結論が出されておりますし、私もそう思うということであります。
○毎日新聞
 ただ、そのダムによらない案というのは、まだその有効性はついていないということですか。
○知事
 流域委員会の議論では、どの案にも難点があって、実現が難しいのではないかという流れがなっていたかと思います。それがきちんと結論づけられてはいなかったと思いますけれども、議論の中で見ている限りにおいては、そのような雰囲気が強かったのではないかと思います。
○毎日新聞
 「有効」か「有効でない」ではなくて、その実現の可能性を精査することなのですけれども。
○知事
 いや、ダムは有効であり、実現の可能性もあります。
○毎日新聞
 いえいえ、ダムによらない案の方です。
○知事
 ですから、ダムによらない案というのは、可能性がありますということではなくて、実際にできるかどうかということを詰めたいと思っているのですね。考え方はたくさんあると思います。ですけれども、考え方のデパートみたいにするのではなくて、実際にここでやるとしたら、ダムによらない案とした場合には、「もうこの案だね」というものがまとまるかどうかということだろうと思っております。
○毎日新聞
 それは、もちろん経済的な話も含めてということになるのですか。
○知事
 そうですね。例えば、それはできるけれども、ものすごく大きな額がかかるとした場合には、そのことも含めて議論をする形になっていくと思いますので、現実に可能性があるのかということの議論になっていくであろうと思います。
○西日本新聞
 知事は、ずっと毎日悩まれていると言われていたのですけど、どの辺を悩まれていた、どこの境目で悩まれていたのですか。
○知事
 それは、ダムによると結論づけていいかどうかです。流域委員会からはお勧めはダムですと言われているわけですから。それで、そう決めていいかどうかということでありまして、本当にダムによらない案というものが、あらゆる可能性を吟味して、どうしてもできないからという厳しい議論が流域委員会の中で行われたかといえば、そこまでは時間の関係もあっていっていないのではないのかと思われます。それよりもダムの方が経済的にも安いし、また有効だからというところが先に結論づけられ、先にというか、議論の中で方向づけされていったという印象を持ったものですから。
○西日本新聞
 それで、ダムによらない方がいいと思われている理由は、やはり清流をそのままにしたいということですか。
○知事
 環境に与える変化が大きいということがあります。私自身が理解するところによれば、先日、同じように流域委員会をしているところの例をずっと探していったときに、淀川水系の流域委員会の意見書というものを読ませていただく機会があったのですけれども、そういう中にも書いてあったのですが、「ダムによるというのは、治水の最後の手段であるべきではないのか」という意見書が出ております。私も、何もしないというわけにはいかない、かと言ってほかの手段によるわけにいかない、そういう場合にはダムによるということで結論を求めざるを得ないと思いますけれども、まずはそれによらない案が何かないのかということに最大限努力をすべきであろうと思いますし、ダムというのはやはり大きな環境の変化を伴うものだけに、社会的な合意が必要になると考えます。その合意のできていないところで、ある意味強引に進めていくということについては、慎重であるべきだと考えたわけであります。

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