記者会見

●質疑応答:報道機関との質疑応答(1)
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○幹事社(NHK)
 まず、1年目を迎えたということで、この1年を振り返っての感想を最初にお願いします。
○知事
 無我夢中で 365日やってきました。一生懸命やってきたというところに、感想は尽きるかと思います。
 もともと佐賀県を29年離れていただけに、そして、大変に短い政治活動の期間でありましたので、自分が当選をしたときにはうれしかったんですけれども、果たしてどれだけのことができるかというふうな大きな心配がありましたけれども、何とか1年間やってくることができて、ありがたくもあり、ほっとしているというのが正直なところです。
○幹事社(NHK)
 それで、この1年を振り返って、知事として反省点というのはどういったものがありますか。
○知事
 一つは、私はまず県民との対話、そして、現場に出ていくということを旗印に掲げて行動しておりましたので、随分県政の現場には出かけていくことができましたけれども、一方で、県庁内部での議論や対話というものがどうしても不足してしまったというところは率直に反省をしなくてはならないだろうと思っております。
 また、いろんな判断を必要としたものがあり、県立病院のように移転か現地かというふうなものについて一定判断したものもありますけれども、例えば、城原川ダムの問題のように、1年だけでは判断できずに、判断が延びたような部分があったというふうなところや、また、商工共済協同組合の問題などについては、私なりにいろんな意味で考え、行動し、結論を出していったと思っておりますけれども、それについて県民や議会の理解を大きく得るというところまでは至っていないというふうなところについては、率直に反省すべき点であろうと思っております。
○幹事社(NHK)
 一方で、この1年を振り返って、これだけはほかには負けていない、自慢できるというようなところはどんなところでしょうか。
○知事
 ほかの県の知事さんもそう思っているかもしれませんけど、私が一番働いていると思っています。働き過ぎがよくないという指摘もあります。知事というのは判断をする仕事であって、きちんと休む、または、ゆっくりする中で自分の環境を整えるべきだという御指摘もございますが、何せ若くもあり、いろんな意味で知識が足りないという部分もありましたので、一生懸命やってきたというこの情熱と一生懸命さはほかのどこにも負けないし、だれにも負けないものがあったと思っております。
 自分でできたと思ってうれしいことの代表は、私は「菜の花のこと」と呼んでいるんですけれども、これは選挙のときからずっと訴えておりました、役所の感覚と県民の感覚を合わせるという代表例のことでして、1年前の3月30日に相知で行われていた菜の花フェスティバルというイベントは、余り菜の花が咲いていない中で行われていたんですね。それはなぜかというと、あれは炎博の補助金をもらってやっていた事業だったんですけれども、会計年度が3月31日までなものですから、菜の花が咲いていようが、咲いていまいが、3月中にイベントをしなくてはいけない、だから、3月にやっているんだという話でありました。私は変だなと思って、私が知事になったら、こういうおかしなことは変えさせますということを、ずっと選挙期間を通じて訴えておりました。そのことが昨年の12月に、当時財政課という課が県庁にありましたけれども、そこから県庁の各課に対して、そしてまた、そこを通じて市町村に対して、こういうふうにお天気相手のイベントについては、4月にずれ込んでも構いませんよ、その場合にはきちんと議会に話をして、繰越明許の手続をとりますからと、そういうふうな通知を出すことができました。
 これまでは、道路整備のように、ハードについては地権者との話し合いがうまく進まないというふうな理由で、繰り越しをするということが認められておりましたけれども、イベントなどのソフト事業については、そういう形での繰り越しが認められておりませんでした。これは認める、認めないは、ひとえに県の判断であったわけなんですけれども、それまで認めた例がないということだったんですね。それを制度を変えまして、できるようになって、今年の相知町の菜の花のイベントは、4月4日に行われました。満開の菜の花のもとで行われたということで、私も見に行きましたし、役場の担当の課長さんは、「実は、このイベントは何年目かになるけれども、毎年3月中に花が咲くかどうかが非常に不安であった。その意味で、そういうことを気にせずできるようになっただけでも本当にうれしかったです」という話をいただきました。
 私が1年間やった中で、前からやると約束していて、しかもきちんとできたという意味では、このことが一番自分では印象的です。
○幹事社(NHK)
 一方で、これはやろうと思っていたのにできなかったということは、何かありますか。
○知事
 主に産業関係ということになります。
 一つは、骨太の産業振興の施策を打ち出したいという気持ちをずっと持っておりましたけれども、そういったものを打ち出すまでに至らなかったというところがあります。
 また、産業分野の一つでもありますけれども、佐賀県のブランド戦略というものも含めて、観光というものにもっと力を入れていこうという気持ちでおりましたけれども、個々の事業についていろんな御意見を申し上げることはあったんですけれども、今後の佐賀県の観光がどうあるべきかということについての骨太の政策や構想を打ち出すことができなかったと思っておりまして、これは2年目以降の課題にしたいと思っております。
○幹事社(NHK)
 これまで、ある意味うれしかったこととか、先ほど、できたこと、できなかったことというのがあったんですが、うれしかったこと、あるいはちょっと残念だったことはどういったことがありますか。
○知事
 うれしかったことは、いろんな方から「佐賀県が最近元気だね」という言葉をいただくことであります。県内、県外を問わず、あちこちに出かけることがありますけれども、県出身者の方や県民の方から声をかけていただいて、そういうふうに激励や励ましのお言葉をいただくという瞬間が一番うれしい瞬間です。
 私は、主だった大きな組織の支援というものもなく、ずっと選挙戦を戦ってまいりましたので、県民の方々お一人おひとりの支援と評価が、何よりも宝だと思っておりますので、そういう意味では、そういうお言葉をちょうだいすることが一番うれしいことであります。
 悲しいというか、残念なことがあるとしたら、私は私なりの考えでずっと進めていっておるんでありますけれども、一番身近なところにいる職員に、それがすべてきちんと伝わっているかというと、それはまだまだだというところであります。これは反省点の一つに加えるべきなのかもしれませんが、率直に私の言葉が足らない部分や説明が足らない部分もあろうかと思います。それはまた2年目以降に改善をしていきたいと思っておりますけれども、例えば、いろんな不祥事を含むところの異常時が起きたときには、とにかく判断をせずに知らせるという動作をしてほしいということでありますとか、また、必要なことについては、これまでの慣例にとらわれずに、いろんな手段を通じて広報をしていってほしいというふうなことなどを折に触れて職員に訴えているつもりでありますけれども、なかなかそういう部分については、現時点でまだ 100%徹底したとは言えない、そういうふうなことがありまして、だんだん減ってきたというものの、時々そういう事例に接すると、まだまだだなと思うことがたまにあります。
 ただ、職員の名誉のために申し上げれば、実は今年の4月に大きな組織改革を行いましたけれども、組織改革については、やろうと言い出したのは私でありましたけれども、それは昨年の夏ぐらいのことでありました。9月補正に何かできることを出そうかというふうな議論から始まったのでありましたけれども、9月に出すのはいかにも拙速の感を免れないというふうな内部での議論になり、秋から冬にかけて相当議論をいたしましたけれども、ある一定の時期を超えますと、私の関与が実はほとんどありませんで、県庁内における課長以上のクラスで、何度も議論を重ねていった結果が、今回の組織改正につながっていっております。
 特にその中では、当時人事課という課がありましたけれども、そこなんかが、組織改正と新しい仕事のやり方のシステムをつくっていく旗振り役をずっとやってくれました。ややもすれば、人事課とか財政課とか、そういうこれまで主流となって県政を仕切ってきた課からすると、今回、私どもが手がけた組織改革というのは、自分たちの権限をいわば小さくする改革になるわけでありますけれども、そういうものを、それが問題ということではなくて、佐賀県の職員が何をすべきかという広い観点から進めていってもらったということは、大変誇るべきことであると思っております。
 ほかに、いろんな組織改革をやった県がありますけれども、知事がかわって就任1年たった段階でこれだけ大きな組織改正をやった県はございません。これはひとえに、まず職員の中でのそういう積み上げの努力があったということと、また、議会の方で御理解があった、この2点が大きかったと思っておりまして、このこと自体は大きな成果であると思っております。
○幹事社(NHK)
 2年目に向けての抱負というものをお願いします。
○知事
 先ほどの反省点の裏返しになってきますが、一つは、4月20日をもって「(知事と)かたろうかい」が終了しました。49の市町村すべて1年以内に回るということを掲げておりましたので、それが実現できて、自分なりに満足感があります。
 今までずっと外に出かけておりましたので、これからの1年は、少し内部での議論を重視していきたいと思っております。県庁の中での議論や対話、また、県議会議員の方や、市町村の首長さんや議員さんたちといった、そういうふうな住民、県民の代表者の方々との議論がある意味足らなかった部分もあろうかと思いますので、そういったものについて、きちんと今までよりも時間をとっていくことをやっていきたいと思っております。
 また、具体論があるわけではありませんが、先延ばしになっていると認識をしている産業について、また、観光について、もう少ししっかりとしたビジョンをつくっていくようなことを課題としたいと思っております。
 また、今年は、昨年決めきれなかったことについて決断をする年になっていくと思っております。城原川ダムの問題についてもそうでありましょうし、例えば、諫早湾の干拓についての中・長期開門調査などをはじめとする有明海再生の問題についても一定の判断をすることが求められましょうし、また、九州新幹線長崎ルートについても、私が思っていたよりは議論のスピードが速くなってきております。そういうふうに、議論をし、ものを考える年ではなく、決断をしていく年になると思っております。

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