記者会見

●質疑応答:平成17年度当初予算案について(1)
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○朝日新聞
 古川県政のやり方として、今回、本部制にしたこともあるし、ボトムアップで積み重ねていくというのが一つの特徴なのかなと見ているのですけれども、そうしたボトムアップのやり方の中で、知事から見て、事業がうまくいったもの、事業単位で、一つでも複数でもいいので挙げていただければ。
○知事
 さっきお話ししたように、例えば、自主的に職員を削減して、その分で新しい事業をやっていくという試みは、今までだったらとても難しかったと思います。これまでは、人事当局が「あなたのとこで何人か人を減らしてください」と言うと、いかに減らせないかということのために膨大な資料を作って、ヒアリングに対応してということでやってきました。いかに減らされないかということが、ある意味マネジャーの仕事みたいなものがあったわけです。
 でも、今やそういうことではなくて、正職員の人を振り替えてでも相談員を増員する方がいいという形で、そういう中で仕事のやり方そのものももっと変えていこうという機運が生まれてきたことというのは、大変大きかったのではないかと思っております。
○朝日新聞
 事業単位で挙げるというのは、やはり難しい感じですか。
○知事
 事業単位ですか、話しながら考えたいと思います。
○NHK
 去年は、知事の方のアイデアが多くて、職員発案の事業が少なかったということをおっしゃっていたと思うのですけれども、今回、まさにこれは職員の生の声から出てきた事業であるというのは、どういったものがあるのですか。
○知事
 ここに、今回ご説明申し上げているもののうち、私がぜひやれと言ったものというのは、ここでいけば、例えば、佐賀経済特区、これはマニフェストに書いてあったので、ある意味私の指示だと思います。
 新産業集積エリアというのは、ちょっと聞きなれない名前ですけれども、要するに従来は工業団地と言っていたものです。工業団地という言い方があまりにも古いので、何か新しい名前をつけようかといって、今、私は仮称のつもりなのですけれども、このような名前をつけているのです。
 例えば、こうしたことも、まだ今日の段階ではでき上がっていないのですけれども、新しい産業振興戦略を職員が作っていく中で、実際に企業誘致、例えば、大型企業誘致というものをやっていく中で、実は我が県には水と土地が両方セットされた工業団地がないという気づきがあったんです。
 頭にイメージしていただくと、例えば、工業用水がたくさんあるところというと、例えば、東部工業用水とかはある意味余っているわけなのですけれども、では、そこに広い工場が立地できるような団地があるかというと、作った団地は既に売れてしまっていて、ないのです。
 一方で、例えば、伊万里の工業団地であるとか、多久とかももちろんあるわけですけれども、一定の広い面積を必要とする、最近のはやりのデジタル投資といったものを見ていると、そういったものに必要とされるような内陸型の、しかも水を必要とする企業が立地できるような可能性があるかというのを調べてみると実はないのです。唐津も、水は何とか確保できるのですけれども、そういう広い面積のものがないのです。武雄も水はあるけれども、広い面積の団地がない。
 要するに、そういった仕事をしていて、実際誘致活動をしていく中で、水と土地とがセットになったものが我が県にないのです。そういうところから、新しいものをやはり準備していかないといけないのではないでしょうかという話が出てきた。これからは交付税とか補助金に頼る時代ではなくて、税収に頼らなくてはけないとなると、そういう雇用の場なり、税収確保になるものをいかに増やしていくかということがポイントとなるのではないか。こうしたものが議論の中で出てきたというところなのであります。
 佐賀経済特区というのも、名前自体はマニフェストの中に書いてありましたけれども、具体の中身については、すべて職員の方から出てきたというものでありまして、こうしたものなんかも大きかったのではないかと思っております。
 ブランド化みたいなところは私の思いが、このブランド化支援でありますとか、「22世紀に残す佐賀県遺産」というのは、まさに私の方から、事業評価会議などで提案をしたものが予算化されたものですけれども、この観光の目玉である佐賀県のファミリーツーリズム、このファミリーツーリズム自体は、今登録商標を申請しており、とれればここにトレードマークか○Rをつけようと思っているのですけれども、例えば、こういったものは、観光戦略を職員が作っていく中で出てきたものでありまして、最近「三世代旅行」というものがだんだん出てきている。しかも2007年問題と言われるように、2007年には団塊の世代が大量に退職されるわけですね。そういういわばアクティブなシニアというのがいっぱい市場に供給される、そうした方たちをこういう旅行市場に取り込もうということで、三世代旅行という発想をしていこうではないか。
 最近では、おじいちゃん、おばあちゃんと孫で旅行をする「中抜き三世代」というのも傾向としてはあると説明を受けまして、そうしたことをやっていこうではないかということで、ぜひやらせてくれという話が出てきた、こうしたことは大変大きかったのではないかと思います。
 このファミリーツーリズムについては、ここに具体的な名前は書いてありませんけれども、ソニープラザが権利を持っております「バーバパパ」というフランスの作家の持っているキャラクターをイメージキャラクターに使おうということを考えておりますけれども、そうしたことによって佐賀県が提案する新しい旅行というものをやっていこうということも職員の方から出てきたものであります。
○読売新聞
 現場感覚とか、現場の創意工夫を生かしたというのは、具体的にどういうところですか。
○知事
 例えば、さっきもちょっとお話ししたのですけれども、今、消費生活相談というのをアバンセでやっているのですが、アバンセは月曜日が休みですので、そのときにはきちんとした体制ができていなかった。でも一般の方は、月曜日であろうが、何曜日であろうが、問い合わせをされると。そこを何とか工夫しなくてはいけないということで、月曜日にも相談のとれる体制を置こうではないかということで、消費生活相談員を1名配置しようとした。これはまさに現場の方からの声でありまして、それはただ経常経費になりますので、なかなか予算がうまく組めないという中で、では、今やっている仕事の工夫をして、正職員を変換させることによってやっていこうではないかという声が出てきた。こうしたことが特徴の一つと言えるのではないかと思っております。
 また、こういったものもあります。ここの表に出ていないのですけれども、今回、警察の予算の中で駐在所のリニューアルというのが出てきています。今までは何十年もたった駐在所というのは、基本的に取り壊して新しいものに建て替えをしていました。でも最近は、リニューアルというものが随分できるようになってきたわけであります。そこで、もちろん建て替えをするよりもリニューアルした方がはるかに安い値段でできるので、ぜひリニューアルでさせてください、そして、件数を増やしてくださいということがあって、より経費がかからない形で、いい住環境を提供することができるという事業が今回出てきております。これはまさに現場の警察官の人からそういうようにしてくれないかといった話が予算化されたものであります。
 また、河川管理の関係で、排水機場のポンプというのがあります。今までは古くなってどうしても修理しなくてはいけなくなったら、そのときに大金をかけて修理をしていました。また、点検も2年に1回というかたちで行ってきました。ところが、これについては、実際に仕事をしている職員の方から、予防保全の観点で、むしろ、毎年雨期の前にきちんとした手入れをしていれば、そんなに急に悪くなることはないんですよねという話から、今年からわずかなお金ですけれども、「とにかく雨期の前には点検をしてね」というような予算に振り替えをしています。そういったことも、まさに実際に管理をお願いしている現場の方から出てきたものを今回予算化したということでありまして、そうしたことが例として挙げられるかと思います。
○西日本新聞
 今回の予算編成の特徴の一つとして、本部制を知事は挙げられていましたが、要するに、各本部に権限を与えるということは、今までに比べて知事の考えが予算に反映される度合いがもしかしたら少ないのかなと思うのですけど、それについてはどのような考えですか。
○知事
 結論から言えば、それはイエスです。もちろん、私が指示を出すプロセスは幾つか作っております。
 まず一つは、昔は予算編成というと「せーの」で始めて、秋口に一応トップの、風向、風速の具合を見る感じで、「こんなことを来年は考えているのですけれども」と、ふわっとした説明があって、あとはもう一発で知事査定に来る感じだったのですけれども、今は秋口ぐらいから、まず来年の県の方針をどうしていくのか、どういう事業をやっていくのか、どういう事業をやめていくのか、そういうことについてかなり議論を重ねます。そして、予算編成を始める前に、来年度の方針はこうしていこうということを決めていきます。その方針の中で、相当私の意見といったものも言わせていただいて議論をさせていただいておりますので、そこでまず、トータルの大きな方向性は示すことができる点が1点。
 それと、最後には予算調整会議という場面があって、秋口に示した方針が予算にどのような形で反映されたのかということをチェックするという形でやっております。予算調整会議のレベルになると、財源的にかちっとしてしまっていますので、その時点で思いついたような新しいことを提案するということはできないわけでありますけれども、本部に任せるということと、トップマネジメントとをどう両立させるかということは簡単ではないのですが、そういう大きな方向性を示す、最終的なチェックをする、真中の部分は本部にお任せをする、そういうことを来年以降もより精緻なものにしていきたいと考えております。
○共同通信
 三位一体関係でちょっとお尋ねします。今回の予算編成で、三位一体というのは非常に額面上いろいろ影響してきたと思うのですけれども、今後の国の補助金改革において、知事として優先して取り組むべき課題というものは何かということと、今後の三位一体改革について、何かご意見があればそれを教えてください。
○知事
 今後の三位一体改革に望むことは、地方の自由度の高まる改革をぜひお願いしたいということであります。
 例えば、今回、一般財源化されたものの多くは利子補給費だったりするわけです。利子補給というのは、これはしなくてはいけないわけで、してもしなくてもいいというわけにはいきません。だれがやっても同じ結果にしかならないものを手続的に、補助金の手続をとらずにやるとしただけでありまして、地方の自由度、裁量、満足度、そういったものとは無縁のものになってしまっていると。これからは、地方の自由度が増すようなものにつながる改革をぜひ目指していかなければならないだろうと思っております。
 具体的には、例えば、保育所や特養の整備の補助金なんかは交付金化されていっておりますけれども、よく申し上げますように、保育所については、もともと来年度から生徒を募集しようと思っていたところが、保育所の補助金が足りないから、これを2年度に分けてやってくれということが去年の春ぐらいに国から言われました。やむを得ませんので、では、それはそういうことですねと言って、平成16年度、17年度の2カ年に分けて事業をやってもらうように保育所の事業者にはお願いをしました。そしたら、最近になりまして、やっぱり金が余ったから16年度で使ってしまってくれということが来ております。
 このように、もう国の財政事情でふらふら、ふらふら、いつ、何年度から保育所が開設できるのかもはっきりしないような状況になるということは、だれから見てもあまり幸せな状態とは言えないと思います。こうしたことをなくすためにも、地域で行う仕事は基本的に地域に決定権が行くような形を目指すというのが基本的な考え方であります。その意味では、こういう交付金化されたもの、また今回、交付金化の対象にならずに補助金で残っているものについても要求をしていくべきだろうと思っております。
 基本的には、去年決めた枠組みの中で実現できていないものが義務教を始めたくさんありますので、そうしたものの取り扱いをどうしていくかということを決めていくというのが、今年の一番大きな課題だろうと思います。今年は、ある意味では戦線を拡大するのではなくて、去年かなり戦線を拡大して延びきった部分がありますので、そこをとにかく戦いをして勝っていくということが大事なことではないかと思っています。

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