記者会見

●質疑応答:平成17年度当初予算案について(2)
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○朝日新聞
 関連ですけれども、三位一体の関係で、例えば、国民健康保険が意思に反して税源移譲されてしまったということがあったと思うのですが、そういうことによって具体的に県の方の予算編成に何か影響が出たということは、今回はあったのでしょうか。
○知事
 三位一体改革絡みで言えば、財源的にはすべて全額補償するということになっているので、金額だけ見たときには影響があったということではないのですけれども、私どもが懸念いたしますのは、そもそも国民健康保険というのは、国民皆保険という国策に従って保険者を分けてそれぞれ実施してきているものであるのですが、そこに全く議論なしに、いきなり都道府県がかなり大きな額を負担するというところを持ってこられたということについては不思議に思っています。財源的にどうかという話よりは、むしろ、全く議論なしにこうした都道府県負担が導入されたということに対する、我々としての不満があると言えます。
○STS
 古川県政に入って3年目になるのですけれども、3年目の位置づけ、それから、それに伴う今回の予算のキーワードのようなものは何かありますか。
○知事
 「ジリツ」だと思います。大きな意味で、まずはそれぞれの各本部が「自律」的な予算編成をしたということ。「リツ」は大宝律令の「律」の「自律」であります。一方で、佐賀県そのものも、これは自ら立っていかなければならない、「自律」と「自立」の予算を目指してということではなかったかと思います。
 残念ながら、三位一体の改革はまだ道半ばでありますので、そういう財源的なところについては見えていないという点と、本来伸ばしていかなければならない県税収入が、今回の予算案の編成の段階ではまだ伸びていくという道筋がついていないというところはあるわけでありますけれども、そうしたところを目指していくというところは芽出しができたのではないかと思います。
○佐賀新聞
 この予算、本部制になって初めてということになりますけど、知事が自己採点をするとすれば、 100点満点で何点かということと、これは先ほどからちょっと出ているのでありますけど、その減点分の理由を、重複してもいいですので、見解をお願いします。
○知事
 毎年、これは約束事ですので、そういうことになるのだと思いますけれども、こちらも約束事で答えますが、限られた予算と人員の中で、最大限の効用を発揮する予算を組んだつもりであるということで言えば、しかも、それを現時点における最良の案として議会に提案する責任からすれば、それは 100点満点だというのが基本的な考え方ではあります。
 しかしながら、それはそれとしながらも、現実的に自分がやりたかったことと実際に仕上がったものとの乖離という意味でいけば、80点から85点ぐらいなのかなと思っております。
 一つには、緊急プログラムで示した歳入が得られていないということであります。今まで予算というと歳出が中心でありましたけれども、これからはどういう歳入をどうやって確保していくかということも中心になっていかなくてはいけないと思っていまして、何とか歳入増を目指していきたかったのでありますけれども、なかなか我が県経済の実情からして、昨年度に比べて大幅に増になるという状況には至りませんでした。そういう歳入増が図られなかったという点が、ある意味マイナスの10点なのかなと思います。
 また、あとの10点分があるとすれば、それは大きくシステムが変わったということで、私は基本的には大変よかったことだと思っておりますものの、職員にどれだけきちんと徹底できていたかという部分については、十分でなかった部分もあるのではないかと思います。歳入的な部分、またそのプロセスの部分、そういった部分で、それぞれ満点とは言えなかった部分があるなと思っているところでございます。
○西日本新聞
 今回の予算編成というのは、いわゆる緊急プログラムの最初の年に当たるわけですよね。想定していた数字から多少のずれがあるわけですけど、それは果たして許容範囲なのかどうかというのが1点です。
 それと、基本的にはシーリングをかけていって規模を縮小していこうという予算だと思うのですけど、平成20年、2008年まで毎年こういうことが続いていくわけなのですが、今年もかなり厳しいというのは現場から上がっていた声だと思うのですけど、果たしてそれが実現可能なのかどうなのか、1年目を終えたところでの感想をお願いします。
○知事
 ちょっと質問に聞きほれてしまっていたのですけれども、まず来年も続かなくてはいけない、本当に大変になるというのはそのとおりでして、経常経費15%減を緊急プログラムでは4年間続けることになっています。
 となると、その対象となっている経費は4年間でいわば半分になってしまいます。今回も相当、例えば、補助金の交付先である各種の団体などとは厳しい交渉、折衝、ご理解を賜るという努力をして、何とか組めたわけでありますけれども、来年以降、全く同じような方法で果たして予算が組めるのかという点は非常に私も心配であります。
 そこは、実は予算編成をした本部が一番感じていることではないかと思っておりまして、これから今年の予算編成の反省をいろいろしていきたいと思っていますけれども、予算が成立した後に、今度はその翌年の予算要求、事業の要求の仕方を考えていかなければいけないだろうと思っておりますし、これまで以上に事業評価と連動させていかなければいけないだろうと思います。
 今まで事業評価は、どちらかといえば縮小の方向とか、伸ばしていく方向とか、ふわっとしていっていましたけれども、もう最初から事業評価の段階で、もうこの事業はこういう状況のもとではもう廃止すべきであるというような、きちんとした言い方をしていったりしないと、もう本部だけの段階で、とにかく何か少しだけ残してとか、補助率を半分にしてとか、そうしたことだけではもう対応できない時代になっていくのではないかということを、今回、厳しい予算編成の中で実感いたしました。
 なお、ちょっと聞かれてはおりませんが、投資的経費が5%とか3%とか減らしていないのに、何で経常経費だけそれだけ減らすんだという質問を、別の場で職員の方からも受けたものですから、この際、説明させていただきたいと思います。平成13年度と16年度の予算を比べますと、投資的経費は既に26%ぐらい減っているのです。これはそもそも、もともと大きいのが国の予算であったり地財計画であるわけですけど、それをが大幅に減らしてきていますので、一気に減ってきているのです。
 ところが、経常経費については実はあまり減ってきていないのです。それはなぜかというと、今までシーリングというものを設定してきていましたけれども、そのシーリングの対象となっている経費が、実は全体の経費の相当狭い部分でしかなかったわけです。そのほかの部分はシーリング外経費のようなことでやっていて、シーリング外経費が90数%あったわけです。ですから、シーリングだけでやっていたのではだめで、もう物理的に予算要求枠を幾らにするということでしていかないと、もうだめだという状態になって、今回変えていっているわけなのです。
 ですから、経常経費に対して非常に厳しいしわ寄せが来ているように映りますし、それは現実、事実ですけれども、実際上ロットで見たときには、まず投資的経費が相当減ってきているという現実があるということをご理解いただければと思います。
 それともう一つは、許容範囲内かどうかですね。いろんな説明が必要でありますけれども、一言で言えば許容範囲内であろうと思っております。
 なぜそう思うかというと、一つはまず財源不足を解消できたからであります。許容できないぐらいのものであるとすると、それはもう最初から組めない予算か、またカラ歳入を組まなくてはいけないわけであります。基金からの取り崩し額を増やすであるとか、起債を使わずにいたところを起債の対象経費として見込むというぐらいのところでできた予算編成という意味では、回復が可能な範囲内での分ではなかったかと思います。
○朝日新聞
 知事就任1周年のときに、全国発信についてコンセプトから聞いたことがあったので、その観点からですけれども、佐賀のイメージアップのためにいろいろな全国発信施策、知事が自ら目立つというのもありますけれども、以前お話があったときに、やはり職員が積み上げた事業でというのが、職員自身の自信にもつながるしということをおっしゃっていたように思います。
 そう考えると、私の記者としてのセンスが乏しいのか、今回、正直地味な印象というか、全国発信という点ではどうなのかなと。県庁内部で取材をしていても、今回の事業は小粒ではないかというような声も聞こえてきましたし、そういう観点から、全国発信、「佐賀はこんなことをやっている」というのを今日以降、インターネットなりに載って、各都道府県が、「あ、こんなことやっている。これは真似してみよう」というようになるものがどれだけこの本部制でできたかということについてどうお考えになっていますか。
○知事
 本部制による予算の編成というのは、まさに各県見習うべきものだと思います。全然違います。今回の予算の一番の目玉はこれです。本部制で予算を自律的に編成した、ここが一番の目玉だと思いますし、同じようなことをやっているところがあれば教えてほしいと思います。
 少なくとも、我々は全くお手本がない中で、手探りで進めていった。しかも、我々が思っていた以上の成果が出た、そのように思っています。
○朝日新聞
 それは大変参考になる意見ですが、人間というものは事業単位でついつい目がいってしまうもので、そう考えると、事業で言えば「これだ」というのは何かありますか。
○知事
 例えば、事業で言えば、ここに書いてあるように、佐賀経済特区で「五免五減」という制度、こうしたものを導入するのは全国で初めてなのです。こういう新しい試みをしたということがなかったし、しかも県と市町村で協働してというのもないと思います。
 そういうことでありますとか、地域共生ステーションという名前のものは、今まで福祉というのが高齢者福祉とか障害福祉、児童福祉と縦割り福祉だったのです。それを、とにかく高齢者だろうが、夫婦が働いている人であろうが、家にいる人であろうが、そういったことをある意味理由を問わずに、とにかく何かサポートを必要とする人が利用できるようなステーションを作っていきましょう、それを地域というものの中でこうしたものを始めるというのは、似たようなものが滋賀県とかにないわけではないのですけれども、これだけ私どもの意識として、障害福祉というものに限らずに、高齢者・児童福祉、一緒になってということを出したのは、これも全国で初めてではないかと思っております。
 これは私の思いからなのですけれども、例えば、今まで道路というのは道路を整備することが仕事だけれども、街を明るくすることは仕事じゃないというのが道路管理者の意識だったのです。ところが、実際には暗い道では怖い、特に防犯というか、犯罪予防の観点で相当強く言われていますし、それを県民満足度調査したところ明らかになったわけです。
 そうしたものを、こういうように市町村と一緒に地域計画を作って、自分たちでやれるところは自分たちでやってもらいましょうと。一戸一灯運動のようなことで、それぞれ自分の家の前にきちんと明かりをつけましょうと、門灯をつけましょうという運動でやってもらえる分はやってもらいましょうと。ただ、自治会で設置するものは設置してもらいましょう、そうしたトータルの計画を作ってもらう中で、県としても市町村と一緒になって支援をしていきましょう、こうしたものも私はこれまでなかったというか、ちょっと調べてもらったのですけれども、県でこういう街路灯だとか防犯灯に対して計画的に何か支援をしていこうという試みは全国初ではないかと思っております。
 また、ブランド構築は、さっき言いましたような、ファミリーツーリズムといったものがありますし、「22世紀に残す佐賀県遺産」は残念ながら類似例がありました。北海道遺産とか、類似例があります。発達障害に対しては、特に学校における支援というのもありますけれども、それと併せて、1歳半と3歳のときから、要するに早期に発見して療育していけば、そんなにひどくならなくてきちんとした対応ができるということがあります。1歳半健診をここまで徹底的にやるというのも、これは佐賀県ならではであろうと思っておりまして、発達障害に対しては、恐らく佐賀県が全国の中で一番積極的に対応しているということが言えるのではないかと思っております。
 それぞれ地味な要素があるかもしれませんが、私は今回の中での一番大きいところは、繰り返しになりますけれども、このプロセスそのものが一番の成果ではないかと思っております。

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